アクイファー(帯水層)について
「アクイファー」(aquifer)は、地下に存在する岩石または土壌の層で、水が貯留され、地下水を供給する能力を持つ地層を指します。アクアイファーは、地下の浅い層から深い層に至るまでさまざまな深さに存在し、地下水の自然の貯蔵庫として機能します。
アクアイファーは地下水の源として非常に重要であり、多くの地域で飲料水や農業、産業用水供給に利用されています。地下水は地表の水源とは異なり、水の浪費を最小限に抑え、水の利用効率を高めるために利用されています。め、地下水の管理と保護が行われています。
ここからはアクイファー(aquifer)とCCUS(炭素捕捉利用貯留)の関係について説明します。
CCUSとは?
CCUSは、炭素捕捉(Carbon Capture)、利用(Utilization)、および貯留(Storage)の頭文字を取った略語で、大気からの二酸化炭素(CO2)排出を削減するための技術とアプローチを指します。これには、産業プロセスや発電所からのCO2の回収、CO2の再利用、そしてCO2の地下貯蔵が含まれます。
CCUSについて詳しく知りたい方はこちらの記事
・CCUSとは? ・CCUSとDAC ・脱炭素化へ多様化する二酸化炭素回収技術
アクイファーとCCUSの関係
アクアイファーは、地下の岩盤層に存在する水の貯留庫であり、主に地下水を供給するために利用されます。CCUSにおいて、アクアイファーはCO2の地下貯蔵のために重要な役割を果たす場所の一つとして注目されています。
アクイファーを用いたCCUS
CCUSの一部として、二酸化炭素は地下のアクアイファーに貯蔵されることがあります。これは地下貯蔵技術の一形態で、CCUSプロジェクトで排出されるCO2を地下に封じ込めることを意味します。具体的には、高圧で圧縮されたCO2はアクアイファーに注入され、アクアイファー内の岩層と水によって封じ込められます。
CCUSと地下水保護
アクイファー内のCO2貯蔵は、地下水との適切な共存が重要です。CO2が漏れ出して地下水に浸透することは避けなければならず、地下水の品質を損なうことがないように注意が払われます。このため、CCUSプロジェwクトは地下水の保護を重要視し、環境規制と監視を行うことが一般的です。
総括すると、アクイファーはCCUSの一部としてCO2の地下貯蔵に利用され、地下水との調和が図られています。地下貯蔵は二酸化炭素排出削減のための重要な手法であり、アクイファーはその実現に貢献しています。
CCUSについて詳しく知りたい方はこちらの記事
CO₂地中貯留オプションの比較 — 帯水層・油ガス田跡地・玄武岩
CCUSにおけるCO₂の地下貯留先は、帯水層(塩水帯水層)が主力だが、他にも油ガス田跡地・玄武岩層などの選択肢がある。
| 貯留タイプ | 概要 | 世界的な推定貯留ポテンシャル | 日本での利用可能性 | 主なリスク |
|---|---|---|---|---|
| 塩水帯水層(Saline Aquifer) | 地下の岩盤孔隙に塩水が満たされた地層。不圧水(非飲料水)のため水資源との競合が少ない | 5〜20兆t-CO₂(最大推計) | 日本の大半の沿岸部・北海道・秋田県沖に存在。苫小牧で実証済み | CO₂の漏出・地下水汚染・誘発地震 |
| 枯渇油ガス田 | 既に採掘が完了した油田・ガス田跡地を貯留層として使用。地質データが豊富で安定性が高い | 0.9〜1.3兆t-CO₂ | 日本は大規模な国内油ガス田が少ないが、秋田・新潟に一部可能性あり | 既存坑井からの漏出・坑井の健全性管理 |
| 玄武岩層(Basalt Formation) | CO₂を炭酸塩鉱物に固定化(鉱物化)することで永久的に閉じ込める。アイスランドのCarbFix実証が代表例 | データ少。深海底玄武岩も候補 | 日本は火山性玄武岩層を沿岸部に持つ。研究段階 | 注入技術・コスト高、CO₂-水溶解が前提 |
| 炭層(石炭層) | 石炭にCO₂を吸着させつつメタンを回収(ECBM)。貯留と資源回収を同時に行う | ポテンシャル未確定。品位・透水性に依存 | 北海道・九州に炭田あり。採掘済み炭層の活用が研究対象 | CO₂注入による炭層膨張・透水性変化のリスク |
日本のCCS実証・CCSプロジェクト事例
| プロジェクト | 場所 | 貯留地層 | 注入量 | 状況(2024年末時点) |
|---|---|---|---|---|
| 苫小牧CCS実証試験(JCCS) | 北海道苫小牧市沖 | 塩水帯水層(陸上から沖合へ) | 累計30万t-CO₂以上(2016〜2019年実証、その後継続監視) | 日本で唯一のCCS実証済みサイト。商業化へ向けた第2フェーズ検討中 |
| 苫小牧CCS商業化事業 | 北海道苫小牧市沖 | 塩水帯水層(深度1,100〜2,400m) | 2030年代から年間200万t目標(JERA・ENEOS・北海道電力等) | 環境影響評価手続き中(2024〜2026年) |
| 秋田CCS検討(石油天然ガス・金属鉱物資源機構 JOGMEC) | 秋田県沖 | 塩水帯水層・既存ガス田跡地候補 | 地質調査段階 | 貯留適地スクリーニング中(2023〜2025年) |
| 海外:Sleipner(ノルウェー) | 北海・スレイプナーガス田沖 | 塩水帯水層(Utsira層、深度800〜1,000m) | 年間100万t-CO₂(1996年〜) | 世界初の商業規模CCS。27年以上継続中。漏出なし確認。 |
アクイファーへのCO₂貯留の仕組みと監視技術
- 4つの貯留メカニズム:(1)構造貯留(地層の不透水層キャップロックに閉じ込め)、(2)溶解貯留(CO₂が地下水に溶解)、(3)毛管・残留トラップ(岩盤孔隙に残留)、(4)鉱物化(炭酸塩鉱物として固定化)。時間が経つほど安定した貯留形態に移行する。
- 圧力モニタリング:注入圧力の変動で漏出の兆候を検知。地震計網による微小地震観測も実施。
- 地震探査(4D地震探査):3Dデータを複数時点で比較し、CO₂の地下分布変化を可視化。苫小牧でも活用。
- 地下水サンプリング:周辺の地下水・表層水のCO₂・pH・塩分濃度を定期的にモニタリング。