CCUSプラントとは、「Carbon Capture, Utilization, and Storage(炭素捕捉利用貯留)」の頭文字をとって呼ばれる施設やプロジェクトのことを指します。
CCUSは、二酸化炭素(CO2)を排出する産業プロセスやエネルギー生産からCO2を捕捉し、その後利用または貯留する技術やプロセスを指します。具体的には、以下の3つのステップで構成されます:
- 炭素捕捉(Carbon Capture):
産業プロセスや発電所などから発生するCO2を捕捉する技術です。これにより、大気中に放出されるCO2の量を減少させることが可能です。 - 炭素利用(Utilization):
捕捉されたCO2を有用な製品や化学物質に変換する技術です。例えば、CO2を原料としてプラスチックや燃料を作るなどの利用方法があります。 - 炭素貯留(Storage):
捕捉されたCO2を地下などに安全かつ永久的に貯蔵する技術です。地下貯留(CO2地下貯留)は、CO2を深い地層に注入して、長期間にわたって封鎖する方法です。
CCUSプラントは、これらのステップを組み合わせて、CO2の削減と有効活用を実現する施設です。CCUS技術は、温室効果ガスの排出量を削減し、気候変動対策に貢献することが期待されています。特に、化石燃料を使用する産業や発電所などの大規模なCO2排出源において、CCUS技術の導入が重要な役割を果たすと考えられています。
CO₂回収技術の種類 — ポイントソース型 vs. DAC
| 種別 | 回収対象 | 代表技術 | 現在コスト(概算) | 主な用途 |
|---|---|---|---|---|
| ポイントソース型CCS | 排気口(発電所・セメント・製鉄)のCO₂濃厚排ガス | アミン吸収法・膜分離・固体吸着 | $30〜120/t-CO₂ | 大型排出源の脱炭素 |
| DAC(直接空気回収) | 大気中の薄いCO₂(約420ppm) | 液体溶媒DAC(Carbon Engineering)、固体吸着DAC(Climeworks) | $300〜600/t-CO₂(2024)→ $100目標 | オフセットクレジット・ネットゼロの残余排出対策 |
| BECCS(バイオエネルギー+CCS) | バイオマス燃焼排ガス(生物起源CO₂) | バイオマス発電所+アミン回収 | $50〜200/t-CO₂ | ネガティブエミッション。IPCC 1.5℃シナリオで重要 |
CCUSの3ステップ詳細
| ステップ | 技術 | エネルギーペナルティ(目安) | 主な課題 |
|---|---|---|---|
| ① 捕捉(Capture) | 化学吸収(MEAアミン)、物理吸着、膜分離、極低温分離 | 発電所の場合、発電効率が6〜10%ポイント低下 | 溶媒の劣化・再生エネルギー消費・スケールアップ |
| ② 輸送(Transport) | パイプライン(液化CO₂を高圧輸送)、タンカー・トレーラー | 圧縮・液化に電力消費(回収量の3〜5%相当) | パイプライン漏洩リスク・長距離インフラ整備コスト |
| ③ 利用・貯留(Utilization / Storage) | 地中貯留(塩水帯水層・枯渇油ガス田)、CO₂利用(e-fuel・化学品・コンクリート硬化) | 利用の場合は追加変換コスト | 貯留層のモニタリング・CO₂漏出リスク・利用先市場の確立 |
日本のCCUS主要プロジェクト
| プロジェクト | 場所 | 回収量 | 状況(2024年末) |
|---|---|---|---|
| 苫小牧CCS実証(JCCS) | 北海道 | 累計30万t-CO₂以上 | 実証完了・商業化フェーズ準備中 |
| 大崎クールジェン(IGCC+CCS) | 広島県大崎上島 | 実証規模(石炭ガス化複合発電) | Phase 3(CO₂分離回収)実証中 |
| 関西電力・住友化学CCUSサプライチェーン | 大阪〜海外 | 将来100万t/年目標 | FEED段階・2030年代商業化目標 |
| GX脱炭素電源法(CCS事業法) | 全国 | 2030年代に年間1,200〜2,400万t目標 | 2024年5月施行・貯留適地選定進行中 |
CCUS vs CCU vs CCS — 用語の整理
- CCS(Carbon Capture and Storage):CO₂を捕捉して地中に貯留するのみ。利用なし。
- CCU(Carbon Capture and Utilization):捕捉したCO₂をe-fuel・化学品・コンクリートに利用。貯留なし。
- CCUS(Carbon Capture, Utilization and Storage):CCS+CCUの両方を包含する総称。日本の政策文書やIEAでは主にCCSの意味でCCUSを使う場合もあるため文脈に注意。