紙・パルプ産業の脱炭素 — 森林資源の供給者とバイオマス利用者という二重の立場
製紙業は国内製造業のなかで唯一、エネルギーの半分近くをすでに非化石に置き換え、しかも自ら森林を保有する産業である。それにもかかわらず、この二重の立場はそのままでは二重の収益にならない。黒液由来の削減は制度上「過去の前提」として扱われてクレジット化できず、社有林の吸収量は方法論の要件と価格構造に阻まれて量が出ない。収益に変わるのは、残存する化石燃料の削減、除去系クレジットの希少性、そして製品側のグリーンプレミアムという三つの断層の上に立つ部分だけだ。(本稿の情報は2026年09月時点)