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MTJ(メタノール・トゥ・ジェット)とは|メタノールからSAFを製造する合成航空燃料技術

この記事では、クライメートテックの文脈で注目を集める持続可能な航空燃料SAF(Sustainable Aviation Fuel)の製造法の一つであるMTJ(Methanol to Jet)について解説します。

  1. 概要:
  2. 原料:
  3. 製造プロセス:
  4. 他の製造法に対する優位性:
  5. 課題:
  6. 商業化の進捗:

概要:

MTJ(Methanol to Jet)研究段階の最新技術で、バイオマスとクリーン水素をメタノールに変換し、そのメタノールをSAFに加工する製造法です。

原料:

  • MTJプロセスでは、主要な原料としてメタノール(Methanol)が使用されます。メタノールは、天然ガスやバイオマスなどの原料から製造されることがあります。

製造プロセス:

  • MTJの製造プロセスは以下のステップで構成されます。
    1. メタノール製造: メタノールは、天然ガス(メタン)をシンガスに変換し、シンガスをメタノールに合成する方法や、バイオマスを利用して発酵や化学プロセスにより製造されます。
    2. シンガス生成: もしメタノールが天然ガスから得られた場合、メタノールを再びシンガスに変換します。
    3. 合成ガソリンの生成: メタノールを脱水・オリゴマー化反応(メタノール→DME→オレフィン→ジェット燃料留分)によりジェット燃料に変換します。

他の製造法に対する優位性:

  • 原料の入手性:
    メタノールは天然ガスやバイオマスから製造できるため、原料の入手性が高く、地域によらず生産が可能です。
  • メタノールの既存生産:
    既存のメタノール製造設備を使用して、比較的容易にMTJプロセスに切り替えることができます。

課題:

  • 研究段階
    MTJは他の製造法に比べまだ開発途上であり、商業化が遅れています。
  • コスト:
    MTJの製造コストが他のSAF製造法に比べて高いことが課題とされています。
  • 効率性:
    メタノールからシンガスを生成し、その後再び合成燃料に変換する段階でのエネルギー損失が課題です。

商業化の進捗:

  • MTJは研究段階から実証プロジェクトまで進展していますが、商業化の進捗はまだ初期段階です。一部の企業や研究機関がMTJ技術の開発を行っていますが、コストや効率性の向上が商業化の鍵となります。将来的な展望としては、原料の多様性と既存のメタノール生産インフラの利用がポイントとなります。

MTJ製造プロセスの全体像(MTO/MTG/MTJ)

MTJ(Methanol-to-Jet)はメタノールを中間体として液体航空燃料に変換する多段プロセス。メタノール経由の利点は、様々な原料から大規模生産が確立されていること。

ステップ 内容 変換効率(概算) 主要技術・触媒
原料調達 天然ガス/バイオマス/廃棄物ガス/再エネ+CO₂(e-methanol)からメタノール合成 SMR(steam methane reforming), ATR, CO₂+H₂合成
MTO(Methanol to Olefins) メタノール → エチレン・プロピレン等の軽質オレフィン 〜75〜80%(炭素収率) ゼオライト触媒(SAPO-34, ZSM-5)
オリゴマー化・水素化 オレフィン → ジェット燃料留分に適した炭化水素 〜90% 固体酸触媒・Ni/Pd水素化触媒
精製・蒸留 ジェット燃料留分(Jet A-1規格)分取・未反応物循環 〜95%(精製収率) 標準的な石油精製設備

原料(メタノール)別の炭素強度(CI)とコスト比較

メタノールの種類 原料 CI値(gCO₂e/MJ-SAF)概算 メタノール価格目安(2024)
グレーメタノール(天然ガス由来) 化石天然ガス +60〜+90(化石代替にならない) $200〜400/t
バイオメタノール(廃棄物/バイオマス由来) 廃棄物ガス・木質バイオマス −30〜+20(廃棄物起源ならマイナス可) $600〜1,200/t
e-メタノール(CO₂+グリーン水素) 再エネ電力 + DAC/産業CO₂ −70〜0(再エネ&DAC依存) $800〜2,000/t(現在)→ 将来$400〜600目標

ASTM D7566認証とMTJ-SAFの現状

  • 認証規格:MTJはASTM D7566 Annex A7(ATJ-SPK)またはAnnex A8として審査中(2024年時点)。FT-SPK(Annex A1)やATJ(Annex A5)より認証プロセスが遅い。
  • 混合比率:認証後の暫定的なブレンド上限は50%(Jet A-1と混合)。認証完了後は純粋なMTJ-SAFとして使える可能性も検討中。
  • CORSIA適格性:e-メタノール由来のMTJはICAO「CORSIA」の適格SAFとして承認の方向で議論中(バイオメタノール系は条件付き承認済み)。

商業プロジェクト・実証事例

プロジェクト 場所 規模(計画) メタノール原料 状況
Carbon Engineering(Oxy子会社)→ MTJルート検討 カナダ・米国 未公表 DACからのCO₂+グリーンH₂ DACからのeFuels全般を研究。MtJはルートの1つ
Haldor Topsøe(現Topsoe)e-methanol → SAF デンマーク e-Methanol商業プラント技術ライセンス提供中 CO₂+グリーンH₂ e-methanol合成技術(eSMR Methanol)の商業ライセンス展開
出光興産・JERA等 日本 実証規模 バイオマス・廃棄物由来メタノール NEDOプロジェクト参加。2030年代商業化に向け実証中

MTJ vs 他のSAF製造法の比較

製造法 TRL(2024) コスト($/t) 強み 弱み
HEFA TRL9(商業生産中) 1,200〜2,000 最も安価・認証済 原料(廃食油)の量に限界
ATJ(エタノール系) TRL8〜9 1,500〜2,500 原料多様(セルロース等) エタノール原料競合・エネルギー効率やや低
MTJ TRL5〜7 2,000〜5,000 e-メタノール化でスケール可能・既存インフラ活用 認証遅延・現状コスト高
PtL(FT経由) TRL5〜7 3,000〜8,000 DAC+再エネで高いCI削減 最もコストが高い

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