GGBS(高炉水砕スラグ)とは|セメント代替で製造業のCO₂排出を削減する産業副産物
lelandavenue
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この記事ではクライメートテックの文脈で近年注目を集めている高炉水砕スラグ(GGBS)について解説します。
- 概要:
- 従来の製法との違い、メリット・デメリット:
- 脱炭素化に向け注目される理由:
概要:
高炉水砕スラグ(Ground Granulated Blast Furnace Slag、GGBS)は、鉄鋼製造の際に発生する副産物であり、高炉での鉄鉱石の冶金プロセスにおいて発生する冷却された溶融スラグを水砕して製造される製品です。主成分はケイ酸カルシウムであり、セメントやコンクリートの製造において補助材料として利用されます。
従来の製法との違い、メリット・デメリット:
– 従来の製法との違い:
従来のセメント製造では、主に石灰石(CaCO₃)と粘土(Al₂O₃、Fe₂O₃)が焼成されて製造されるが、GGBSは高炉で発生するスラグを再利用することで、環境に対する影響を軽減しています。
– メリット:
- 強度向上: 高炉水砕スラグ(GGBS)をセメントに混ぜることで、コンクリートの強度や耐久性が向上します。
- 環境への貢献: 再生利用により廃棄物削減やCO₂排出の低減に寄与します。
- 化学的安定性: 高炉水砕スラグ(GGBS)はアルカリ骨材反応を低減させ、コンクリートの耐久性を高めることができます。
– デメリット:
- 生産工程の複雑性: 高炉水砕スラグ(GGBS)の製造は水砕などの工程を経るため、製造プロセスが従来のセメントよりも複雑であることがあります。
- 初期強度の低下: 一部の用途では、初期強度が従来のセメントよりも低いことがある。
脱炭素化に向け注目される理由:
– CO₂削減:
高炉水砕スラグ(GGBS)の使用は、セメント製造におけるCO₂排出量を削減するのに寄与します。鉄鋼製造過程で発生したスラグを再利用することで、新たな原材料の生産や処理に伴うエネルギー消費を軽減し、従ってCO₂排出を低減できます。セメント業界は、脱炭素化が最も難しい業界の一つと言われており、高炉水砕スラグ(GGBS)のように、CO2排出を削減できるソリューションを開発する、クライメートテックのスタートアップ
– サステナビリティへの貢献:
高炉水砕スラグ(GGBS)の利用はサステナビリティに資するため、建築業やインフラ構築において環境への負荷を低減し、緑の建築や低炭素社会の構築に寄与します。
総じて、高炉水砕スラグ(GGBS)は従来のセメントに比べて環境への影響が少なく、脱炭素社会の実現に向けた重要な建材となっています。
セメント代替材料(SCM)別CO₂削減効果比較
高炉水砕スラグ(GGBS)は「補助的セメント材料(SCM: Supplementary Cementitious Material)」の一種。同類材料との比較で位置づけを理解できる。
| 材料 |
主な原料 |
CO₂排出量(kg-CO₂/t)目安 |
OPCとの比較(削減率) |
典型的な置換率 |
| OPC(普通ポルトランドセメント) |
石灰石(焼成) |
700〜900 kg/t |
基準(0%削減) |
— |
| GGBS(高炉水砕スラグ) |
製鉄副産物 |
50〜80 kg/t(輸送・粉砕含む) |
約85〜92%削減 |
20〜70%(用途・強度により変動) |
| フライアッシュ(FA) |
石炭火力発電副産物 |
30〜60 kg/t |
約92〜96%削減 |
10〜30% |
| シリカフューム(SF) |
フェロシリコン製造副産物 |
30〜60 kg/t |
約92〜96%削減 |
5〜15%(高強度コンクリート) |
| 石灰石微粉末(LS) |
石灰石(非焼成) |
20〜50 kg/t |
約94〜97%削減 |
5〜30%(強度への影響あり) |
| アルカリ活性化スラグ(AAC/ジオポリマー) |
GGBS+活性剤(水ガラス等) |
100〜300 kg/t(活性剤含む) |
約60〜85%削減 |
セメント代替100%(バインダー全量) |
GGBSとCBAM(炭素国境調整メカニズム)の関連
EUのCBAM(Carbon Border Adjustment Mechanism)は2026年から本格適用。鉄鋼製品の輸入に対して炭素コストを課す制度で、GGBSの流通にも間接的に影響する。
- CBAMと鉄鋼スラグの関係:GGBSは鉄鋼製造の副産物。CBAMは鉄鋼の輸入に炭素コストを課すが、GGBSそのものへのCBAM直接適用は現在検討中(セメント製品への適用は確定)。
- コンクリート産業の文脈:GGBSを使ったコンクリート(低炭素コンクリート)は、EU建築物の炭素規制(「建物のライフサイクル炭素」評価)でメリットを受ける可能性。
- 日本の動向:国交省・環境省が推進する「グリーン調達」や「低炭素コンクリート」の普及で、GGBSの需要増が期待される。日本のGGBS生産量は年間約1,500万t(高炉スラグセメントとして)。
GGBSの品質規格(日欧比較)
| 規格 |
国・地域 |
等級・区分 |
主な技術要件 |
| JIS A 6206 |
日本 |
3種類(3000・4000・8000 cm²/g) |
比表面積・ガラス化率・塩化物量・活性度 |
| EN 15167-1 |
EU |
Grade 80・Grade 100(強度活性指数) |
ブレーン比表面積・活性度・MgO含量 |
| ASTM C989 |
米国 |
Grade 80・Grade 100・Grade 120 |
7日・28日強度活性指数 |
| BS 6699 |
英国 |
Grade S(Slag) |
欧州ENに準拠。ブレンドセメント規格BSにも組み込み |
GGBSのコンクリート特性への影響
- 水和熱の低下:OPCより発熱が遅く、マスコンクリート(ダム・基礎・橋桁)での温度ひび割れを抑制。
- 耐海水性・耐硫酸塩性の向上:塩害・硫酸塩劣化に強いため、港湾・海洋構造物・下水道インフラに適する。
- 長期強度の増大:初期強度はOPCより低いが、90日・1年後の強度がOPC単体を上回る場合がある。施工スケジュールの調整が必要。
- 色・外観:GGBSを多く配合したコンクリートは白みがかった仕上がりになる傾向がある。
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