REDD+(Reducing Emissions from Deforestation and Forest Degradation, plus conservation, sustainable management of forests, and enhancement of forest carbon stocks)は、森林における温室効果ガス(GHG)の排出削減を促進する国際的な取り組みです。この取り組みは、主に開発途上国において森林の保全や持続可能な管理を通じて、温室効果ガスの排出を削減し、森林に蓄積された炭素を増加させることを目指しています。
以下は、REDD+の主要な要素と動向についての解説です:
排出削減の対象:
- REDD+は、主に森林における温室効果ガスの排出削減を対象としています。これは、主に森林の伐採や劣化による排出を削減することを指しています。
追加の要素:
- 「+」の部分には、以下の追加要素が含まれています。
- Conservation (保全): 森林の保全や自然状態の維持。
- Sustainable Management of Forests (森林の持続可能な管理): 森林資源を持続可能かつ効果的に管理する取り組み。
- Enhancement of Forest Carbon Stocks (森林炭素ストックの向上): 森林における炭素の蓄積を増加させる活動。
参加国:
- REDD+は、国際的な枠組みとして、開発途上国による自発的な取り組みを奨励しており、47か国が参加しています。これにより、森林地域の住民や地域社会も取り込まれ、地域の持続可能な開発も考慮されることが期待されます。
資金流:
- REDD+の成功には十分な資金が必要であり、国際社会は開発途上国に対して資金を提供しています。これにより、森林の保全や管理が促進され、排出削減の効果が期待されます。
課題と懸念:
- REDD+の実施には課題や懸念もあります。例えば、土地使用権の権益保護、計測・監視・報告(MRV)の確立、効果的なインセンティブの提供などが挙げられます。
REDD+は、気候変動への対応と同時に、生態系の保全や地域の持続可能な開発を結びつけることで、環境と社会の両面に利益をもたらすことが期待されています。
森林系カーボンクレジット手法の比較
| 手法 | 略称 | 対象活動 | 主なクレジット標準 | 特徴・課題 |
|---|---|---|---|---|
| REDD+ | REDD+ | 途上国における森林減少・劣化の防止、森林保全、持続可能な森林管理、炭素蓄積の強化 | VCS(Verra)・GCF・二国間(JCM等) | 大規模な森林保全が可能だが、ベースライン設定・追加性・リーケージの証明が難しい。「ゾンビクレジット」問題が2023年に批判を集めた。 |
| 植林・再植林(A/R) | A/R CDM / VCS AR | 森林のない土地への植林(Afforestation)、かつて森林だった場所への再植林(Reforestation) | CDM(A/R)・VCS(VM0047等)・Gold Standard・Jクレジット | 新たな炭素吸収源を創出。植林後の管理・永続性(Permanence)の確保が重要。カーボンバッファが必要。 |
| 改良森林管理(IFM) | IFM | 既存の商業林で伐採量を減らし、炭素蓄積量を増加させる | VCS(VM0010/VM0012等)・Climate Action Reserve | 北米(米国・カナダ)で特に普及。伐採削減による炭素保全を計測。永続性保証が課題。 |
| ブルーカーボン | BC | マングローブ・塩性湿地・海草藻場の保全・修復・植生回復 | VCS(VM0033/VM0052等)・Gold Standard・Jクレジット | 陸域森林より高い炭素貯留速度。海洋生態系のCo-benefit(水産資源・防災)が大きい。日本での方法論整備が進行中。 |
| Jクレジット(森林) | J-VER | 国内森林(人工林の間伐促進・適切な森林管理)による炭素吸収増加 | Jクレジット制度(農林水産省・環境省共管) | 国内林業振興と連動。一定規模以上の人工林が対象。Jクレジット取引価格は1,000〜4,000円/t-CO₂程度。 |
REDD+の資金メカニズムと主要プログラム
| 資金源・プログラム | 規模(参考) | 特徴 |
|---|---|---|
| GCF(緑の気候基金) | 累計数十億ドル規模 | 結果に基づく支払い(RBP: Results-Based Payments)方式。REDD+の公的資金の中核。 |
| FCPF(森林炭素パートナーシップ基金) | 世界銀行管理。数億ドル | 国家REDD+戦略の策定支援と結果払い。47か国参加(2024年時点)。 |
| ボランタリーカーボン市場(VCM) | 年10〜30億ドル(森林全体) | 企業・個人の自主的購入。VCS登録のVCU(ヴェラカーボンユニット)が主流。2023年の批判により価格・需要が一時低迷。 |
| パリ協定6.2条(二国間ITMO) | 日本のJCMなど | REDD+活動をITMOとして計上し、先進国のNDC達成に活用。二重計上防止(Corresponding Adjustment)の適用が2025年以降の焦点。 |