海運の脱炭素経済性 — IMO ネットゼロ枠組みの課金と代替燃料の採算
海運の脱炭素は「規制に従うかどうか」の問題ではなく、「どの価格帯でどの燃料・どの契約が最も安いか」という価格形成の問題に変わった。IMOネットゼロ枠組み(Net-Zero Framework、以下NZF)は船舶燃料のGHG強度に対する世界初のグローバル炭素課金だが、その課金額は制度が一律に決めるのではなく、二層の是正ユニット価格と余剰ユニットの需給、そしてEU側の既存規制との重畳によって航路ごとに大きく異なる実効価格として立ち上がる。VLSFO(低硫黄重油)を焚き続けた場合の追加負担は、当初案のスケジュールで2028年に燃料1tあたり約80米ドル、2035年には約458米ドルという試算になり、