鉄の水素還元(水素還元製鉄)とは?CO₂排出ゼロの製鉄プロセスとDRI・高炉BF-BOFとの違いを解説
lelandavenue
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- 化学式
- 特徴
化学式
鉄の水素還元は、水素ガスを使って酸化鉄を還元して鉄を得る反応です。一般的な式で表すと次のようになります:
FeO + H2 → Fe + H2O
この反応では、酸化鉄(FeO)と水素ガス(H2)が反応して、鉄(Fe)と水蒸気(H2O)が生成されます。酸化鉄は固体であり、水素ガスは気体なので、反応によって鉄が得られます。
特徴
鉄の水素還元は高温で行われることが一般的で、通常は600℃から800℃以上の温度が必要です。高温での反応が進行することで、酸化鉄を水素ガスに還元して鉄を得ることが可能となります。
水素ガスは強力な還元剤であり、酸化鉄などの酸化物を還元する反応に利用されます。水素還元は産業や研究などさまざまな分野で利用されています。例えば、鋼鉄製造においては、鉄鉱石を水素ガスを使って還元し、鉄を製造する際に利用されることがあります。
水素還元はまた、触媒の再生などのプロセスでも利用されます。触媒は反応を促進するために使われる物質であり、反応が進行するうちに触媒は変質してしまいます。そのため、定期的に触媒を再生させる必要がありますが、水素還元を使って触媒を元の状態に戻すことができます。
水素還元は反応の性質や条件によって異なる応用が可能であり、酸化物の還元だけでなく、脱硫や脱塩素などの反応にも利用されます。
水素還元の反応段階と温度条件
鉄鉱石(主成分:赤鉄鉱 Fe₂O₃)を水素で還元する際、3段階の連続反応を経て金属鉄(Fe)が得られる。
| 段階 |
反応式 |
最適温度 |
特徴 |
| 第1段階 |
3Fe₂O₃ + H₂ → 2Fe₃O₄ + H₂O |
250〜400°C |
最初の還元ステップ。赤鉄鉱→磁鉄鉱。発熱反応(比較的容易)。 |
| 第2段階 |
Fe₃O₄ + H₂ → 3FeO + H₂O |
570〜700°C |
磁鉄鉱→ウスタイト。吸熱反応(エネルギー投入が必要)。 |
| 第3段階 |
FeO + H₂ → Fe + H₂O |
700〜900°C |
ウスタイト→金属鉄。吸熱反応。還元雰囲気(H₂濃度)の管理が重要。 |
| 全体反応 |
Fe₂O₃ + 3H₂ → 2Fe + 3H₂O |
800〜950°C(DRI炉) |
炭素を一切使用しない脱炭素製鉄プロセス。副生成物は水蒸気のみ。 |
水素還元 vs コークス(高炉)還元の比較
| 比較軸 |
水素還元(H₂-DRI) |
コークス還元(BF-BOF高炉法) |
| 還元剤 |
水素(H₂) |
コークス(C)および一酸化炭素(CO) |
| 還元反応の副生成物 |
水蒸気(H₂O)のみ → CO₂を排出しない |
CO₂(炭素酸化物)→ 高炉1トン粗鋼あたり約1.7〜2.1 t-CO₂ |
| プロセス温度 |
800〜950°C(固体または半溶融状態で還元) |
1,500〜1,600°C(高炉内で溶融) |
| 得られる鉄の状態 |
固体の海綿鉄(DRI:スポンジ鉄)→ 電炉(EAF)で製鋼 |
溶銑(銑鉄)→ 転炉(BOF)で製鋼 |
| CO₂排出量(粗鋼1トンあたり) |
グリーンH₂使用時:0.1〜0.3 t-CO₂(残存排出) |
1.7〜2.1 t-CO₂(世界平均) |
| コスト競争力(2024年) |
グリーンH₂コスト次第で高炉の1.5〜3倍以上 |
最も安価な粗鋼製造ルート(既存設備) |
主要な水素還元製鉄プロジェクト(商業事例)
| プロジェクト名 |
主体 |
規模・進捗 |
特徴 |
| HYBRIT(ハイブリット) |
SSAB・LKAB・Vattenfall(スウェーデン) |
2020年:世界初のH₂-DRIパイロット試験。2026年:商業生産開始予定(年産50万トン目標) |
再エネ電力を使ったグリーンH₂で鉄鉱石を還元。スウェーデン北部の再エネ優位地域で実証。 |
| MIDREX H₂ |
Midrex Technologies(米)+ Nippon Steel参加 |
既存MIDREX-DRF炉を水素混合対応に改造。H₂比率70〜100%での試験稼働中(2024年) |
天然ガスDRIの設備を段階的にH₂化(ブラウン→グリーンDRI)。移行戦略として最現実的。 |
| tkH2Steel(チッセンクルップ) |
thyssenkrupp Steel(独) |
2023年:H₂吹き込み高炉での実証試験開始。2030年代に高炉→DRI-EAFへの完全転換計画 |
既存高炉への水素吹き込みで過渡期的に対応しながら、中長期でDRI-EAFへ移行。 |
| H₂FUTURE / SALCOS |
voestalpine(オーストリア)+ Salzgitter AG(独) |
電解水素の製鉄利用実証。2050年カーボンニュートラル達成に向けたロードマップを策定 |
欧州の水素バレー構想と連携。CBAM対応でも優位性。 |
| 日本製鉄・JFEの動向 |
日本製鉄・JFEスチール |
水素還元製鉄の技術開発を実施。2030年代の実機化を目標。NEDO「グリーンイノベーション基金」受給 |
日本独自の技術(フラッシュ還元・水素吹き込み転炉等)を開発中。2050年商業化を見据える。 |
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