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マスバランス方式のグリーンスチール — 削減量を特定の鋼材に割り当てる仕組みと、買い手が確かめるべき点

(本稿の情報は2026年11月時点)

この記事の結論

  • マスバランス方式のグリーンスチールは製鉄所全体で生じた削減量を特定の鋼材に割り当てた製品であり、その鋼材自体の製造工程で排出が減ったわけではない。
  • 買い手が自社のScope 3に反映できるかは配分元の削減の検証水準と開示基準側の扱いに左右され、2026年11月時点では補足開示にとどめる運用が修正リスクを最小化する。
  • プレミアムの対価は「開示上の削減」ではなく、サプライヤーの転換投資への資金供給と将来の物理的低排出鋼材の優先調達枠として評価するのが合理的だ。

鋼材1トンに「CO2排出量を大幅に削減した鋼材」として証明書が付く。だがその鋼材を圧延したラインは、前月と同じ高炉由来のスラブを処理していた可能性がある。マスバランス方式のグリーンスチールとは、製鉄所全体で達成した削減量をプールし、顧客の購入量に応じて割り当てる会計手法であり、個別の鋼材の製造工程の変化を保証する仕組みではない。この区別を曖昧にしたままプレミアムを払うと、支払った対価が自社の開示でも規制対応でも使えないという事態が起こる。

グリーンプレミアムを払う前に、何を買っているかを確定させる

日本製鉄のNSCarbolex Neutral、JFEスチールのJGreeX、thyssenkruppのbluemint steel、ArcelorMittalのXCarb green steel certificates。これらは、製鉄所または全社で生じた削減量を顧客の購入量に応じて割り当てる類型に属する。同じXCarbの名を冠する製品でも、ArcelorMittalのXCarb recycled and renewably producedはスクラップと再生可能電力に由来する物理的低排出鋼材であり、証書移転型とは別のカテゴリになる。製品名が近いために混同されやすく、調達仕様書では「物理的低排出か、削減量の割り当てか」を最初に書き分けるのが実務の出発点だ。

調達側の問いは三つに分解できる。配分の元になった削減が実在し、第三者に検証されているか。同じ削減量が複数の顧客や自社の目標達成に二重計上されていないか。そして得られた数値を自社のScope 3算定と法定開示で使えるか。このうち一つでも答えが「不明」なら、プレミアムの支払いは広報目的または調達関係維持の支出として整理するのが筋であり、削減対策費として経営に説明すべきではない。

類型 物理的な製造工程 代表例の性格 買い手の主要検証論点 Scope 3への反映可能性(2026年11月時点)
物理的低排出(電炉・DRI-EAF) 実際に転換済み。スクラップ/DRI主体 電炉メーカーの高級鋼、XCarb recycled and renewably produced等 電力の排出係数、スクラップ品質、CFP算定境界 インベントリ本体に反映可能。工程実測が根拠
削減量配分(マスバランス) 従来工程のまま。全社/製鉄所の削減量を配分 NSCarbolex Neutral、JGreeX、bluemint steel 配分元削減の実在性・追加性、二重計上防止、台帳監査 本体反映は基準側の扱いが未確定。補足開示が安全側
オフセット付帯型 従来工程。外部クレジットで相殺 —(個別製品は特定しない類型整理) クレジットの質、取消記録、相殺の是非 インベントリ本体では相殺不可。別建て開示

出典:各社公表資料およびGHGプロトコル各基準をもとにClimate tech news(CTJPN)作成

三類型のうち、調達コストあたりの開示上の確実性が最も高いのは物理的低排出である。削減量配分型は単価上昇が相対的に小さい一方、開示での使い方に制約が残る。オフセット付帯型は、GHGプロトコルのCorporate StandardおよびScope 3基準がインベントリ内での相殺を認めていないため、算定上の削減としては最初から使えない。

マスバランス方式の計算構造 — 「削減量の在庫」という考え方

計算は三段階で成り立っている。まず製鉄所または全社単位で、基準年あるいは標準操業を前提としたベースライン排出量を設定する。次に当期の実排出量との差分を削減量(t-CO2)としてプールする。最後にそのプールから、顧客が購入した鋼材のトン数に応じて削減量を引き当て、当該鋼材のカーボンフットプリントを引き下げる。

ここで成立していなければならないのが保存則である。顧客Aに割り当てた削減量は、他の顧客向け鋼材の原単位から控除されていなければならない。言い換えれば、割り当てを受けなかった鋼材の排出原単位は、配分前の平均値より高くなるのが論理的に正しい。配分されなかった製品の原単位の扱いが仕様書に明記されていない場合、同じ削減量を二重に主張する余地が残る。買い手は非配分製品の原単位の扱いと、配分総量がプール総量を超えていないことを示す台帳の確認を求めるのが合理的だ。

化学産業のISCC PLUSに代表される素材マスバランスと混同しやすいが、構造は違う。ISCC PLUSは投入原料のバイオ由来・リサイクル由来という属性を製品に移転する仕組みで、検証対象は物理的な投入量と配分率の整合である。鉄鋼の削減量配分が移転するのは削減効果であり、検証対象はベースライン設定の妥当性にまで及ぶ。後者のほうが、検証機関に求められる判断の幅が広い。

削減源泉 追加性の議論 恒久性・再現性 買い手にとっての主なリスク
高炉へのスクラップ多配 操業最適化の範囲内のことも多く、追加性の立証が難しい 原料価格で変動。翌年度に戻る可能性 削減が経済合理性のみで起きた場合、支払った対価の因果が切れる
コークス炉ガス改質・還元材比低減 省エネ投資として説明可能だが、既存計画分との切り分けが曖昧 設備寿命の間は継続 ベースラインが甘いと削減量が過大計上される
電炉新設・大型転換 投資規模が大きく追加性は明確 高い。構造的な転換 稼働時期のずれにより供給開始が遅延
外部調達の再エネ電力 証書の種類(非FIT非化石証書等)で質が変わる 契約期間に依存 Scope 2の市場ベース手法との整合、証書の二重利用
省エネ・排熱回収投資 既存の省エネ法対応分と重複しやすい 高い 規制遵守分を削減量として販売する二重取り

出典:各社公表資料・GXリーグ算定ルール関連資料をもとにClimate tech news(CTJPN)作成

リスクが最も小さいのは電炉新設・大型転換を源泉とする配分である。投資の追加性が明確で、削減の恒久性も高い。逆に、スクラップ多配や既存省エネ計画を源泉とする配分は、プレミアムを払わなくても起きていた削減を購入している可能性が残る。調達交渉では、源泉の内訳開示を求めるのが実務上の分岐点になる。

第三者証明は何を保証し、何を保証していないか

日本の主要製品には第三者検証が付される。日本製鉄・JFEスチールはいずれも、製品のカーボンフットプリントや削減量の算定について第三者検証を受けていることを公表している。ここで買い手が読み違えやすいのは、検証の対象範囲だ。公表されている要旨からは、保証水準が限定的保証か合理的保証か、検証対象が配分計算の正確性にとどまるのか配分元削減の追加性評価まで及ぶのかを判別できない場合がある。計算が正しいことと、削減に価値があることは別の命題である。買い手は保証報告書本体の「対象範囲」節の提示を求めるのが実務上の最短経路になる。

確認すべき記載は具体的に絞れる。ベースラインの設定方法と基準年。集計境界が製鉄所単位か全社単位か(境界が広いほど、他拠点の削減を流用できる余地が増える)。配分台帳の二重計上防止手続と、当期の配分総量・プール総量の数値。保証水準の区分。そして検証対象年度が、購入年度と一致しているか。

証明書の文言そのものも判断材料になる。「この鋼材の原単位は実質ゼロ」と読める表現なのか、「この鋼材に○t-CO2の削減量を割り当てた」と書かれているのか。前者は下流で原単位として使いたくなるが、根拠は後者の会計処理に過ぎない。後者の表現であれば、買い手は自社開示で削減量として別建て処理する判断がしやすくなる。

チェック項目 望ましい記載 不十分な場合に出す代替質問
ベースライン 基準年と算定式を明記 「過去3年の実績原単位の推移を提示いただけますか」
集計境界 製鉄所単位、拠点名明記 「他拠点の削減を本製品に配分していますか」
保証水準 合理的保証 「限定的保証の場合、未検証の手続は何ですか」
二重計上防止 台帳番号と配分総量の開示 「当期のプール総量と配分済総量の数値をご教示ください」
削減源泉 源泉別の内訳t-CO2 「電炉転換由来の比率はどの程度ですか」
非配分製品の扱い 控除後原単位の明記 「配分されなかった製品の原単位はどう扱いますか」
対象年度 購入年度と一致 「前年度検証分の配分を当年度販売に使っていますか」

出典:ISO 14064-3・ISO 14067の検証要件および各社公表資料をもとにClimate tech news(CTJPN)作成

Scope 3カテゴリ1で使えるのか — 開示基準側の扱い

ここが調達部門と経理・サステナビリティ部門の間で最も揉める論点である。GHGプロトコルのScope 3基準は、購入した製品・サービスの算定においてサプライヤー固有データを優先順位の上位に置く。問題は、削減量配分によって作られたカーボンフットプリントが「サプライヤー固有データ」に該当するかだ。GHGプロトコルは各基準の改定作業を進めており、同団体の公表情報から確認できる限り、2026年11月時点で素材の削減量配分をインベントリ本体に反映することを明示的に認めた確定版の規定は発行されていない。改定ドラフトの協議段階にあるため、ここは今後1〜2年で変わりうる前提として扱うのが妥当だ。

SBTi、CDP、SSBJ基準の間でも受容度は揃っていない。SBTiはCorporate Net-Zero Standardの改定作業の中でScope 3の達成根拠の扱いを論点に挙げており、帳簿上の属性移転を無条件に認める立場はとっていない。CDPの質問書はサプライヤー固有データの利用割合やエンゲージメント活動の記載欄を備えており、配分型製品の調達はエンゲージメントの実績として説明する余地が大きい。SSBJのサステナビリティ開示基準は、温室効果ガス排出量の算定方法と使用したデータの性質について開示を求めるため、配分型の数値を用いた場合はその旨と前提の記述が要求される。

SSBJ基準に基づく開示は、金融庁の制度整備により大規模上場企業から段階的に適用が始まる枠組みで、Scope 3については経過措置が置かれている。適用初年度にどの企業区分が対象となるかは金融庁・SSBJの公表資料で確認するのが前提になる。いずれの区分でも、算定方法を初年度に決めてから途中で変えると、見積りの変更や誤謬の訂正として過年度数値の取り扱いを検討する局面が生じうる。これが、配分型の数値を本体に織り込まない運用を勧める実質的な理由だ。

実務的な帰結は明快である。法定開示では配分型の数値をインベントリ本体に織り込まず、業界平均値または実測ベースの原単位で算定したうえで、補足情報として「削減量配分型鋼材を○万トン調達し、割り当てられた削減量は○t-CO2である」と別建てで記述する。基準側の解釈が変わった際の修正負担は、本体に織り込んだ企業のほうが明確に重い。

枠組み 該当文書 配分型の受容状況(2026年11月時点) 推奨される記載方法
GHGプロトコル Corporate Value Chain (Scope 3) Standard 素材の属性移転を認める確定規定なし。改定ドラフト協議中 本体は実測/平均値、配分量は別建て注記
SBTi Corporate Net-Zero Standard 実削減を重視。改定作業の中で論点化 サプライヤーエンゲージメント実績として報告
CDP Climate Change Questionnaire サプライヤー固有データ・エンゲージメント欄で記載可 調達量と割当削減量を定量記載
SSBJ サステナビリティ開示基準(気候関連) 算定方法とデータの性質の開示を要求 配分型使用の旨と前提を明記
EU ETS/CBAM Regulation (EU) 2023/956 等 域内の炭素価格負担の算定は規制側ルールに従う 規制側ルールの適合可否を個別確認

出典:各発行機関の公表文書をもとにClimate tech news(CTJPN)作成

プレミアムの対価は何に支払われているか

以下の数値はすべて仮定に基づく例示であり、実際の提示価格と配分量仕様で再計算するのが前提になる。配分型グリーンスチールのプレミアム水準について公表された取引価格は限られるため、この試算では熱延コイル等の基準価格を10万円/トン、プレミアムを15%と仮定する。鋼材調達量を年10万トンとすると、追加支出は15億円になる。配分される削減量を1.5 t-CO2/トンと仮定すれば総量15万t-CO2、支払額を削減量で割った実効単価は1万円/t-CO2である。J-クレジットや国際的なボランタリークレジットの価格帯と比べると、必ずしも安い削減手段ではない。

それでも合理性がある場面はある。サプライヤーの電炉転換・DRI投資に対する前払い的な資金供給として機能し、将来の物理的低排出鋼材の優先供給枠を確保できる場合がその典型だ。完成車や建設物のカーボンフットプリント表示、あるいは入札要件が特定の鋼材調達を実質的に要求する場合も同様である。調達実績そのものが規制導入前の社内体制整備になるという効用も無視できない。逆に、開示上の削減量として計上することだけを目的にするなら、実効単価1万円/t-CO2は他手段と比較劣位になりうる。

調達戦略 年間追加支出(10万トン前提の試算) 開示上の確実性 将来の供給確保
配分型を全量調達(プレミアム15%の仮定) 15億円 低〜中(補足開示) 契約次第
物理的低排出を一部調達(1万トン、プレミアム40%の仮定) 4億円 高(本体反映可) 高(実物枠)
長期オフテイク契約(転換投資連動) 契約構造次第 中(稼働後は高) 最も高い
配分型を見送り、社内削減に充当 0円 — なし

出典:Climate tech news(CTJPN)試算(前提は本文。基準価格10万円/トン、配分型プレミアム15%、配分量1.5 t-CO2/トンはいずれも仮定。物理的低排出のプレミアム40%は、配分型より高い水準で語られることを踏まえた仮定値)

費用対効果で優位なのは、物理的低排出鋼材の一部調達と、転換投資に連動した長期オフテイク契約の組み合わせである。配分型の全量調達は支出が最も重く、開示上の確実性が最も低い。ただし表の数値は前提に強く依存するため、自社の調達量と実際の提示価格で再計算した結果が逆転することもありうる。

課題・反論・代替視点

ここまでの整理に対する最も強い反論は、「物理的低排出鋼材が市場に十分存在しない段階で配分型を否定すれば、転換投資の資金が集まらない」というものだ。これは正しい。高炉から電炉・DRIへの転換は製鉄所単位の大型投資であり、各社の公表する設備投資計画と経済産業省のGX分野別投資戦略(鉄鋼)が想定する資金規模を見れば、需要側の支払意思が可視化されなければ投資判断が進まない構造であることは明らかだ。配分型は、物理的供給が立ち上がる前に支払意思を価格として示す装置として機能している。この機能を評価するなら、配分型の購入は「削減の購入」ではなく「転換の資金供給」として会計的にも社内的にも位置づけ直すべきで、開示上の削減として扱えないことは欠陥ではなく仕様になる。

二つ目の反論は、電力のPPAや非化石証書と何が違うのかという指摘である。電力は市場ベース手法が基準として確立しており、属性証書の移転がScope 2算定に反映できる。素材で同じ扱いが認められていないのは、理論的な差というより制度整備の順序の差に過ぎない。将来GHGプロトコルの改定が素材の属性移転を認めれば、現在の慎重な運用は過度に保守的だったと評価される可能性がある。ただし認められなかった場合の修正コストは、本体に織り込んだ企業のほうが明確に高い。非対称なリスクの前では、保守的な側に寄せる判断に合理性がある。

三つ目として、ベースラインの検証を厳格に求めすぎると、サプライヤーが商業機密を理由に情報提供を拒み、交渉が成立しないという実務上の限界がある。この場合は全量の開示を求めるのではなく、保証報告書の対象範囲と保証水準、そして配分総量がプール総量を超えていないことの確認に論点を絞るのが現実的だ。源泉の内訳が出なくても、電炉転換由来の比率という一点だけでも把握できれば、支払いの性格はかなり判断できる。

日本市場・日本企業への示唆

日本の粗鋼生産は転炉法(高炉由来)の比率が主要国の中でも高く、日本鉄鋼連盟の統計でその構成は長年安定している。欧州のようにスクラップ供給と電力の低炭素化が同時に進んだ環境と前提が違うため、ArcelorMittalやthyssenkruppの製品設計をそのまま日本の調達基準に持ち込むと、国内サプライヤーが応札できない要件になりかねない。欧州ではEU ETSとCBAMによる炭素価格シグナルが低炭素鋼材への支払意思を下支えする構造があるが、日本にはこれに相当する国境措置がない。需要側の支払意思だけでプレミアムを吸収する構造になっている点が、決定的な違いだ。

制度面では、GXリーグの排出量取引や、GX経済移行債を財源とする鉄鋼の革新的製造プロセス支援が、サプライヤー側の投資回収構造を変えつつある。買い手が長期オフテイクを結ぶ際は、公的支援と自社のプレミアム支払いが二重に同じ削減量を支えていないかを確認するのが交渉の実務になる。支援と民間需要の役割分担が不透明なまま高いプレミアムを約束すると、数年後に価格の正当性を社内で説明できなくなる。

SSBJ基準に基づく開示が始まる局面では、Scope 3の算定方法の継続性が監査上の論点になる。配分型の数値を本体に入れたり外したりすれば、推移の比較可能性が失われる。初年度から補足開示で統一しておくほうが、後年の負担は小さい。調達部門が契約を結ぶ前に、経理・サステナビリティ部門と「この数値をどこに書くか」を合意しておくことが、支出の正当性を守る最も安価な手段である。

まとめ

マスバランス方式のグリーンスチールは、会計手法として正当であり、同時に物理的な低排出鋼材ではない。この二つは矛盾しない。製鉄所全体で生じた削減量を特定の顧客に割り当てる仕組みは、転換投資の前に需要側の支払意思を価格として可視化する装置であり、鉄鋼という資本集約産業では避けにくい中間段階の制度である。問題は、この製品が「CO2ゼロの鋼材」として語られるとき、買い手が自社の開示で使える削減量を手に入れたと誤認することにある。

買い手が確かめるべき点は三つに絞られる。配分元の削減が何を源泉とし、どの程度追加的か。配分台帳の二重計上防止と非配分製品の原単位の扱いが、どの保証水準で検証されているか。そして得られた数値を、GHGプロトコル・SBTi・SSBJ基準・個別の規制のどこで使う前提なのか。2026年11月時点で確認できる限り、素材の属性移転をインベントリ本体に反映することを認めた確定規定は存在しないため、法定開示では補足情報にとどめ、本体は実測または業界平均値で算定する運用が修正リスクを最小化する。

対価の性格を「削減の購入」から「転換の資金供給と優先供給枠の確保」に読み替えれば、プレミアムの社内説明は格段に通りやすくなる。年10万トン・プレミアム15%で追加支出15億円、実効単価1万円/t-CO2という試算は、いずれも仮定値の上に立つ例示に過ぎないが、削減手段としては高く、2030年代の物理的低排出鋼材の供給枠への入札料としては別の評価になりうるという構図は変わらない。GHGプロトコルの改定作業が素材の属性移転をどう裁くか、そしてSSBJ基準に基づく開示実務でこの数値がどこに書かれるようになるかが、2027年から2028年にかけてグリーンプレミアムの価格水準そのものを決める分水嶺となる。


主要出典

  • GHGプロトコル「Corporate Value Chain (Scope 3) Accounting and Reporting Standard」「Corporate Accounting and Reporting Standard」および基準改定プロセス関連情報 — https://ghgprotocol.org/
  • Science Based Targets initiative「Corporate Net-Zero Standard」およびScope 3関連ガイダンス — https://sciencebasedtargets.org/
  • サステナビリティ基準委員会(SSBJ)「サステナビリティ開示基準(気候関連開示基準)」 — https://www.ssb-j.jp/
  • 金融庁 サステナビリティ情報の開示に関する制度整備・開示府令関連資料 — https://www.fsa.go.jp/
  • CDP「Climate Change Questionnaire」および報告ガイダンス — https://www.cdp.net/
  • 経済産業省「GX分野別投資戦略(鉄鋼)」「カーボンフットプリント ガイドライン」 — https://www.meti.go.jp/
  • GXリーグ 排出量取引制度・算定ルール関連公表資料 — https://gx-league.go.jp/
  • 環境省「サプライチェーンを通じた温室効果ガス排出量算定に関する基本ガイドライン」 — https://www.env.go.jp/
  • 日本鉄鋼連盟 粗鋼生産統計およびカーボンニュートラル関連公表資料 — https://www.jisf.or.jp/
  • 日本製鉄 カーボンニュートラル関連公表資料(NSCarbolex Neutral 製品情報) — https://www.nipponsteel.com/
  • JFEスチール 環境・カーボンニュートラル関連公表資料(JGreeX 製品情報) — https://www.jfe-steel.co.jp/
  • thyssenkrupp Steel「bluemint steel」製品情報 — https://www.thyssenkrupp-steel.com/
  • ArcelorMittal「XCarb」関連製品情報(green steel certificates/recycled and renewably produced) — https://corporate.arcelormittal.com/
  • 欧州委員会 CBAM(Regulation (EU) 2023/956)関連情報 — https://commission.europa.eu/
  • ISO 14064-3(温室効果ガスに関する主張の妥当性確認及び検証)、ISO 14067(製品のカーボンフットプリント) — https://www.iso.org/
  • Jクレジット制度 価格・取引関連情報 — https://japancredit.go.jp/

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