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CO₂e(CO2換算)とは|企業GHG排出量の開示・算定での使い方と換算式

CO2e(CO2 equivalent、二酸化炭素換算)とは、温室効果ガス(GHG)排出量の評価に使用される指標で、異なる温室効果ガスの影響を統一的に二酸化炭素に換算して表すものです。具体的には、各温室効果ガスの排出量を、そのガスの地球温暖化ポテンシャル(GWP)を用いて二酸化炭素量に換算し、その合計をもって全体の温室効果を評価します。

使用例と計算方法

例えば、以下の温室効果ガスがあるとします:

  • メタン(CH₄):GWP₁₀₀ = 28(IPCC AR5)※旧IPCC AR4値は25
  • 亜酸化窒素(N₂O):GWP₁₀₀ = 265(IPCC AR5)※旧IPCC AR4値は298
  • フロン類(F-gases)
  • HFC-134a:GWP(100年)=1,430
  • CF4(パーフルオロメタン):GWP(100年)=7,390

CO2eの算出方法は次のとおりです:

  1. 各温室効果ガスの排出量を測定します。
  2. 各ガスの排出量にそのガスのGWPを掛けます。
  3. それぞれのガスの換算値を合計して、総排出量を二酸化炭素換算で表します。

例として、1トンのメタンと0.5トンの亜酸化窒素の排出があった場合:

  1. メタンのCO₂e:1トン × 28(GWP₁₀₀ AR5)= 28トンCO₂e
  2. 亜酸化窒素のCO₂e:0.5トン × 265(GWP₁₀₀ AR5)= 132.5トンCO₂e
  3. 合計CO₂e:28トン + 132.5トン = 160.5トンCO₂e(IPCC AR5使用の場合)

このようにして、異なる温室効果ガスの排出量を比較可能にし、温室効果全体の評価や対策の効果を測定するためにCO2eが使用されます。企業や国の温室効果ガス排出量の報告や、温暖化対策の効果測定などで広く利用されています。


CO₂eとCO₂の違い — 「e」が意味すること

「CO₂e」の「e」は equivalent(換算)の略。CO₂だけでなく、メタン・N₂O・HFCsなどすべての温室効果ガスをCO₂の温暖化力に換算した合計値。一方「CO₂」と表記している場合は二酸化炭素の排出量のみを指す。

CO₂(二酸化炭素) CO₂e(CO₂換算)
含まれるガス CO₂のみ 全温室効果ガス(CO₂・CH₄・N₂O・HFCs等)をCO₂換算
世界年間排出量(参考) 約37 Gt-CO₂(エネルギー起源) 約53〜55 Gt-CO₂e(GHG全体)
使用場面 エネルギー起源排出量の比較 GHGプロトコル・GHGインベントリ・企業排出量報告
計算根拠 燃料燃焼量から直接計算 各ガス排出量 × GWP₁₀₀係数

主要7ガスのGWP係数一覧(IPCC AR5基準)

温室効果ガス 化学式 GWP₁₀₀(AR5) 主な排出源
二酸化炭素 CO₂ 1(基準) 化石燃料・セメント・森林破壊
メタン CH₄ 28〜34 天然ガス漏洩・畜産・廃棄物・水田
亜酸化窒素 N₂O 265 農業(窒素肥料)・燃焼
HFC-134a(代替フロン) CH₂FCF₃ 1,430 カーエアコン冷媒
HFC-32 CH₂F₂ 705 業務用エアコン冷媒
PFC(CF₄) CF₄ 6,630 アルミ製錬・半導体
SF₆(六フッ化硫黄) SF₆ 23,500 電気設備絶縁ガス

※多くの企業・国のGHG報告では現在もIPCC AR5値が主流。AR4(旧:CH₄=25、N₂O=298)との混在に注意。出典:IPCC AR5 WG1 Chapter 8(2013年)。

Scope 1・2・3別CO₂e計算の実務例

GHGプロトコルに基づく企業排出量報告では、各Scopeで発生するGHGをCO₂eで集計する。

Scope 対象 主なGHG CO₂e計算の例
Scope 1
(直接排出)
自社が所有・管理する排出源からの直接排出 CO₂(燃料燃焼)、CH₄(天然ガス漏洩)、N₂O(燃焼)、HFCs(冷媒漏洩) 化石燃料消費量×排出係数+冷媒漏洩量×GWP₁₀₀ = t-CO₂e
Scope 2
(間接排出:電力)
購入した電力・熱・蒸気の発電時に発生するCO₂ 主にCO₂(電力の発電燃料による) 購入電力量(kWh)×電力CO₂排出係数(t-CO₂/kWh) = t-CO₂
Scope 3
(その他の間接排出)
バリューチェーン全体(原材料調達〜使用・廃棄)のGHG CO₂・CH₄・N₂O・HFCs等多様 購入原材料量×サプライヤーPCF係数 + 廃棄量×廃棄処理CO₂e係数等

CO₂eを使う際の注意点

  • GWP係数の版を明示すること:AR4(旧)とAR5では数値が変わる。企業のGHG報告では使用したIPCC版を明示するのがベスト。
  • GWP₂₀ vs GWP₁₀₀:GWP₁₀₀が標準だが、メタンはGWP₂₀では82.5と非常に高い。政策議論では時間軸を確認すること。
  • CO₂単独表記との混同に注意:「年間53 Gt-CO₂e(全GHG換算)」と「年間37 Gt-CO₂(エネルギー起源CO₂のみ)」は異なる。単位の記述を正確に確認する。
  • 企業のGHGインベントリ報告:ISO 14064-1、GHGプロトコル、環境省GHG算定報告マニュアルは全てGWP₁₀₀(AR5)を基準として推奨。

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