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電力市場改革とVPP — 仮想発電所・需給調整市場・アグリゲーターの収益モデル

蓄電池・EV・産業需要を「制御可能な資産」に変える者が、電力システム改革の価値を回収する。再エネ導入量の増大は、電気そのものの価値ではなく「調整力」「容量」「柔軟性」の価値を高めた。VPPはこの構造変化を収益化する事業モデルだが、単一市場での収益だけで投資回収に届く設計は例外的だ。鍵は複数市場の収益を積み上げるレベニュー・スタッキングと、その配分を規定するアグリゲーター契約にある。

kWhではなく、kWとΔkWが儲かる理由

太陽光の限界費用はゼロに近い。だから晴れた日中の卸電力価格は下がる。九州エリアで始まった出力制御は、いまや北海道から九州まで全国の大半のエリアに広がり、春秋の昼間にJEPXスポット価格が下限に張り付く時間帯は珍しくなくなった。kWh価値の下落は、再エネが増えた市場の必然的な帰結である。

ところが同じ現象が、別の価値を押し上げている。太陽光が夕方に落ちる時間帯の急峻な需給ギャップを埋める「調整力」、猛暑日の夕刻に確実に立ち上がる「供給力」。前者はΔkW価値、後者はkW価値と呼ばれる。再エネが増えるほど変動幅は拡大し、これらの希少性は上がる。エネルギー価値は下がり、柔軟性の価値は上がる。VPPというビジネスの経済的基盤は、この一行に集約される。

ただし、この価値の移動が自動的に収益になるわけではない。調整力の希少性が高まっても、それを売買する市場が存在しなければ誰も対価を受け取れない。日本では2016年の小売全面自由化、2020年の法的分離による発送電分離、電力広域的運営推進機関(OCCTO)による広域運用体制の整備を経て、容量市場(2020年度に初回メインオークション、2024年度に実需給開始)と需給調整市場(2021年度に三次調整力②から開設し、以降段階的に商品区分を拡大)が制度として立ち上がった。物理的な希少性が制度上の「商品」に翻訳されて初めて、それは収益になる。物理的インパクトから測定・証明を経て制度接続へ、という順序は脱炭素ビジネス全般に通じる構造である。

ここから導かれる示唆は、VPP事業の本質が発電事業ではないということだ。VPPは自ら電気をつくらない。既存の蓄電池、EV、産業設備、自家発を通信でつなぎ、市場の指令に応じて制御し、その応動を市場に商品として差し出す。資産は他人のものでよい。競争力を決めるのは設備性能ではなく、市場アクセス権と応動品質——指令に対する追従精度と遅延——である。電気事業法上、需要家側リソースを束ねて小売電気事業者等に電気を供給する事業者は特定卸供給事業者として届出を要し、この届出と一般送配電事業者の指令システムへの接続が事実上の参入ライセンスとして機能する。つまりVPPは、制御ソフトウェアと契約の束だ。ハードウェア企業ではなく、ソフトウェアと金融の交差点にある事業として設計するのが合理的だ。

二つの事業モデルを混同しない

ここで論点を分岐させておく。VPPと一括りにされる事業には、性格の異なる二つのモデルが同居している。

ひとつは需要側アグリゲーション。工場の生産設備、業務用空調、EV充電、家庭用蓄電池といった他人の資産を束ね、その制御可能量を市場に差し出す。設備投資はほぼ不要で、必要なのは通信基盤・最適化エンジン・需要家との契約網だ。収益は需要家とのレベニューシェアで分配されるため、アグリゲーターの手取りは市場収益の全額ではない。

もうひとつは系統用蓄電池。自らが数億円から数十億円の設備を保有し、その全収益を得る。資本集約的で、プロジェクトファイナンスの成否が事業成立を左右する。

この二つは、必要資本も収益構造もリスクもまったく異なる。以下、市場ごとの分析では対象を明示して論じる。混同したまま事業計画を書くと、需要側アグリゲーションの軽い資本構成に系統用蓄電池の収益期待を接ぎ木した、実現しない絵ができあがる。

[図1: 電力価値の3層分解 — kWh価値(卸電力市場・相対取引)/kW価値(容量市場・長期脱炭素電源オークション)/ΔkW価値(需給調整市場)と、それぞれの対応市場・収益特性]

収益プールの解剖

VPPが手を伸ばせる収益源は、容量確保系(容量市場・長期脱炭素電源オークション)、需給調整市場、卸市場アービトラージの三系統である。それぞれ規模も獲得難易度も、そしてファイナンス上の評価もまったく異なる。

需給調整市場は商品区分ごとに技術要件が階層化されている。一次調整力は応動時間10秒以内・継続時間5分以上。二次調整力①と②は応動時間5分以内・継続時間30分以上で、オンラインでの指令と監視が前提となる。三次調整力①は15分以内・3時間、三次調整力②は45分以内・3時間で、指令間隔は30分と最も緩い。この技術要件の差が、そのまま参入可能な設備種別を決める。10秒応動を求められる一次調整力に産業DRは事実上入れないが、蓄電池なら容易だ。逆に45分応動の三次調整力②は需要側リソースが参入しやすい領域となる。

ただし三次調整力②を「需要側リソースの主戦場」と楽観するのは早い。開設初期の同市場では、募集量に対して応札量が届かない未達コマが広範に発生し、それが約定単価を押し上げた局面があった。参入者が集まったから安くなったのではなく、集まらなかったから高かった。因果の順序が逆である。参入が進むにつれ単価は低下方向に向かうのが市場設計上の道理であり、初期の高単価を前提に置いた収益計画は構造的に脆い。

一般送配電事業者が提供する簡易指令システムは、専用線を敷設せずに市場参加できる点で参入障壁を下げるが、適用できる商品区分に制約がある。三次調整力②のように指令間隔の長い商品は簡易指令システムで対応可能である一方、秒単位・分単位の応動と高頻度の監視を要する上位商品では専用線接続と厳格な計測要件が求められる。参入戦略を描く際、この制約が「どの商品から入るか」を実質的に決めてしまう。

容量市場の性格はまったく異なる。これは4年後の供給力をあらかじめ確保する仕組みで、約定すれば固定収入が入る。ただし「稼働しなくても収入が入るノーリスクの固定収入」という理解は誤りだ。発動指令電源として登録したリソースには、実需給年度において実効性テストや実需給期間中のアセスメントが課され、リクワイアメントを満たせなければ経済的ペナルティによって容量確保契約金額が減額される。年間の発動回数自体は限定的だが、その限られた発動に応じられなければ収入は削られる。固定収入の「固定」は、義務の履行を条件とした固定である。

それでもこの収入がプロジェクトファイナンスにおいて決定的な意味を持つことは変わらない。銀行が見るのは平均収益ではなく、下方シナリオでのDSCRだからだ。市況変動に連動しない収入は、そのままレバレッジ可能額を押し上げる。約定価格自体は年度・エリアによって大きく振れており、初回オークション(2024年度実需給分)の全国約定価格が上限価格に近い水準で決まった一方、翌年度実需給分は大幅に低下した。年度ごとの正確な約定価格はOCCTOの公表資料で確認すべき数値であり、事業計画では複数年度の実績レンジを前提に感応度分析を置くのが実務的だ。

長期脱炭素電源オークションはさらに強い。落札すれば原則20年間にわたり固定費水準の収入が確保され、系統用蓄電池は初回オークションから主要な落札カテゴリーの一角を占めた。ただし他市場等での収益の大部分を還付する仕組みが組み込まれており、上振れを取り込めない。事実上、「規制資産に近い低リスク・低リターン事業」への転換を意味する。この選択は、事業の性格そのものを変える。エクイティIRRの上限を自ら切る代わりに、借入余力と事業の存続確率を買う取引だ。

卸市場アービトラージは魅力的に見える。安い昼に充電し、高い夕方に放電する。燃料価格が高騰し電力需給がひっ迫した2022年度前後の局面では日次スプレッドが大きく開き、蓄電池の日次収益は跳ね上がった。だが年間を通じた平均スプレッドは燃料価格と再エネ導入量に強く依存し、年度による振れ幅が大きい。上振れ要因ではあるが、ファイナンス上は劣後評価される。

表1: 収益プール比較

収益源 収益の性格 参入難易度 ファイナンス評価
容量市場(メインオークション) 準固定・年次(アセスメント条件付き) 中(発動指令電源としての登録・実効性テスト) ◎ ベース収益として算入可
長期脱炭素電源オークション 固定・原則20年(他市場収益は大部分還付) 高(審査・電源要件・応札上限) ◎ 最も高い借入余力
需給調整市場(一次・二次) 変動・ΔkW+kWh 高(10秒〜5分応動、専用線・高頻度監視) ○ 保守的水準で一部算入
需給調整市場(三次②) 変動・ΔkW中心 低(45分応動、簡易指令システム可) △ 単価低下リスクを織り込み
卸アービトラージ 変動・スプレッド依存 低(市場参加のみ) △ 大幅ディスカウント

結論を言えば、系統用蓄電池の事業の骨格を決めるのは容量確保系の収入である。需給調整市場と卸は「上乗せ」であって「土台」ではない。投資判断の議論が需給調整市場の単価から始まっている事業計画は、順序を誤っている。需要側アグリゲーションは事情が異なり、設備投資を負わないぶん容量確保系への依存度は低く、需給調整市場と需要家シェアの設計が事業の中心に来る。

レベニュー・スタッキングの数理

「複数市場から収益を積み上げる」という表現は、実は誤解を招く。同一の容量を同一時間帯に複数市場へ約定させることはできない。1MWの蓄電池が二次調整力①に1MW約定した時間帯、その1MWを卸市場に売ることはできない。スタッキングとは足し算ではなく、時間軸上の排他的配分問題である。

この認識が実務上の設計を変える。最適化の目的関数は「各市場収益の合計最大化」ではなく、「各30分コマにおいて、どの市場に容量を割り当てるかという選択の連鎖の最適化」になる。制約条件は三つある。SOC(充電状態)の連続性、サイクル寿命の消費、そして応動保証だ。特に三つ目が効く。調整力として約定した容量は、指令が来たとき必ず応動しなければならない。応動できなければアセスメントで減額される。つまり調整力に容量を割り当てるとは、SOCをその応動可能範囲に拘束することを意味し、卸アービトラージの自由度を削る。

現実的な階層設計はこうなる。まず容量確保系で年間の固定的な収入を押さえる。発動指令の頻度は限定的であるため、大半の時間はリソースを他用途に回せる。次に、自社リソースの技術特性に合う需給調整市場の商品区分へ日々入札する。約定しなかった容量と、調整力として拘束されない時間帯を卸市場のアービトラージに回す。優先順位は固定収入、高単価変動、低単価変動の順だ。

そこから差し引かれるのが劣化コストである。リチウムイオン電池のサイクル劣化を設備費と保証サイクル数から円/kWh換算すると、電池価格と保証条件次第で大きく変わるものの、無視できない水準の内部費用が発生する。日次スプレッドがこの劣化コストを下回る日は、放電しないほうが経済的に正しい。「稼働率を上げる」ことが目的化した運用は、資産を削って赤字を積む。最適化エンジンの良否は、どれだけ動かすかではなく、動かさない判断をどれだけ正確に下せるかで決まる。

表2: 系統用蓄電池 1MW/4MWh のレベニュー・スタッキング構造(試算モデル・実データではない)

項目 収益・費用の性格 事業計画上の扱い
容量確保系収入 準固定・年次 ベースケース・下方ケースとも算入。DSCR計算の中核
需給調整市場収入 変動・約定量に依存 単価低下トレンドを織り込んだ保守前提で算入
卸アービトラージ収入 変動・スプレッド依存 上振れ要因。下方ケースではゼロ近傍を想定
電池劣化費用 稼働連動の内部費用 放電判断の閾値として最適化に内生化
O&M・系統利用・保険 固定+従量 全ケースで控除

上表は各項目の性格と扱いを整理した推計モデルであり、具体的な金額は電池調達価格、系統接続コスト、エリア別の市場環境によって桁が動く。金額を置く際は、容量確保系の約定価格レンジ、需給調整市場の年度別約定単価、JEPXの実績スプレッドをそれぞれ一次データで取り、少なくとも三つのシナリオで感応度を見るのが妥当だ。

銀行はどこを削るか

CFOにとって実務的に効くのは、金融機関がこの収益構造をどう査定するかである。

融資審査では収益源ごとに掛け目が変わる。長期脱炭素電源オークションの落札分は契約期間と金額が確定しているため、ほぼ額面に近い評価を受けやすい。容量市場のメインオークション約定分は、実需給までの年数が短く価格も確定しているため比較的高く評価されるが、アセスメント減額リスクの分だけ控除が入る。需給調整市場は年度ごとに再入札が必要で単価トレンドも下向きであるため、直近実績をそのまま将来に延長した前提は通らない。卸アービトラージに至っては、下方ケースでゼロないしそれに近い水準を置かれることも珍しくない。

結果として、DSCRを規定するのは容量確保系の収入とO&M・金利の関係になる。この構造を理解していれば、事業設計の意思決定は明確になる。レバレッジを効かせたいなら長期脱炭素電源オークションを狙い、上振れを取りたいなら自己資金比率を上げて還付制約のない構成を選ぶ。両取りはできない。

アグリゲーター契約が価値配分を決める

需要側アグリゲーションでは、市場から得た収益をアグリゲーターと需要家がどう分けるかが事業性を左右する。

契約形態は概ね三つに分かれる。第一は完全レベニューシェア型で、市場収益を一定比率で分配する。需要家は制御を受け入れるリスクを負い、その対価として変動収益を受け取る。第二は固定支払型で、アグリゲーターが需要家に容量あたり固定額を支払い、市場収益は全額アグリゲーターが取る。需要家にとっては予見性が高く、アグリゲーターは市場リスクを丸抱えする。第三は両者の折衷で、下限保証付きのレベニューシェアとなる。

どれが有利かは立場と市場観で決まる。需給調整市場の単価が低下トレンドにある局面では、固定支払型を選んだ需要家が相対的に有利で、アグリゲーターは市場リスクを負ったまま単価下落を吸収することになる。逆に、アグリゲーターにとって固定支払型は需要家獲得の武器になり、リソース量の確保が競争優位に直結する事業では合理的な投資でもある。実務上は、初期のリソース獲得局面で固定支払型を出し、ポートフォリオが積み上がった段階でレベニューシェア型へ移行する設計が現実的だ。

見落とされやすいのが、需要家側の機会費用である。工場が生産調整を伴うDRに応じる場合、逸失利益は電力収益を容易に上回る。この点を織り込まないアグリゲーター提案は、契約締結後に発動辞退が続発して応動率が崩れ、アセスメント減額という形でアグリゲーター側に跳ね返る。契約設計の巧拙が、そのまま市場でのペナルティ額に変換される。

企業価値への接続

VPPの収益は損益計算書の一行にとどまらない。系統用蓄電池と需要側アグリゲーションは、いずれも企業のScope 2排出削減と再エネ利用率向上に直接寄与し、CDP・SBTi・TCFD/ISSB系の情報開示において実績値として計上できる。再エネの出力制御によって捨てられていた電力を吸収して自社消費に回す運用は、環境価値と経済価値が同時に立つ数少ない構造だ。

資本市場側の評価も動く。柔軟性資産を保有・運用する企業は、電力価格変動に対するヘッジ手段を内製していることになり、電力多消費産業においてはボラティリティ耐性そのものが評価対象になる。長期契約に裏付けられたキャッシュフローはインフラファンドの選好に合致し、事業売却時のマルチプルにも効く。ここまで来て初めて、物理的なCO2削減が資本コストの低下として回収される。

課題・反論・代替視点

第一の課題は収益の不安定性である。需給調整市場は商品区分ごとに約定価格の変動が大きく、ΔkW収入を前提とした投資回収計画は前提が崩れやすい。系統用蓄電池の新規参入が進めば調整力の供給量が増え、単価はさらに低下しうる。

第二に、分散リソースを束ねるコスト自体が軽視されがちだ。家庭用蓄電池やEVは一台あたりの容量が小さく、通信機器・制御システムと需要家へのインセンティブ支払いを差し引けば、アグリゲーターの取り分は薄い。応動速度の速い商品区分では、通信遅延や応動精度の確保も容易ではない。

第三に、デマンドレスポンスのベースライン設定には恣意性が残るという批判がある。実際には削減していない需要をベースラインの取り方次第で削減量として計上できるのであれば、調整力の実在性そのものが問われる。

代替視点として、単一市場での収益に依存せず、卸電力市場・容量市場・需給調整市場・自家消費最適化を組み合わせるバリュースタッキングや、市場収入ではなくBCPと電気料金削減という需要家側の価値を主軸に据える設計も現実的である。

日本市場・日本企業への示唆

日本でVPPが事業になるかどうかは、制度の器がすでに整ったという事実から出発すべきである。2022年施行の改正電気事業法でアグリゲーター(特定卸供給事業者)が届出制として法的に位置づけられ、系統用蓄電池も発電事業として扱われるようになった。需給調整市場も三次調整力から段階的に商品が開設され、参入の入口そのものは開いている。

問題は入口ではなく、束ねる対象の側にある。日本の需要側リソースは業務用・産業用の大口需要家に偏り、家庭のエコキュート・EV・定置用蓄電池は数こそ多いが、外部から秒単位で制御できる形にはなっていない。制御権は機器メーカーと住宅・自動車側にあり、アグリゲーターは通信規格と契約を通じてしか届かない。さらに調整力の単価は市場の成熟とともに下がる方向にあり、単一市場への依存は収益の劣化を意味する。

日本企業への示唆は二つに絞られる。第一に、機器・住宅・車両を持つ側は、制御インターフェースの開放条件を自社の交渉材料として設計すること。第二に、アグリゲーター側は需給調整市場の単価収入だけでなく、容量市場、卸電力の裁定、需要家の電気料金削減という複数の収益源を積み上げ、指令未達ペナルティの負担配分を契約で明示することである。収益モデルの勝敗は、市場価格より契約設計で決まる。

まとめ

電力市場改革が生んだのは、新しい発電事業ではなく新しい仲介事業だ。kWh価値が構造的に下がり、kW価値とΔkW価値が上がる。この価値移動を制度化された市場を通じて回収するのがVPPであり、その競争力は保有設備ではなく市場アクセス権と応動品質、そして契約設計に宿る。

収益構造の要点は、複数市場からの積み上げが足し算ではなく排他的な時間配分であるという一点に尽きる。容量確保系の準固定収入が事業の土台をつくり、需給調整市場と卸アービトラージがその上に乗る。順序を逆にした事業計画は、単価の低下局面で真っ先に崩れる。需要側アグリゲーションと系統用蓄電池は資本構成もリスクも異なる別事業であり、同じ計画書の中で混ぜてはならない。

分水嶺は、需給調整市場の全商品区分が出そろい参入者が増えた後の単価水準と、長期脱炭素電源オークションの落札実績が実需給に入る局面にある。前者は変動収益の期待値を切り下げ、後者は固定収益による低リスク・低リターン型の事業体を大量に生む。2020年代後半、この二つの力が同時に働くなかで生き残るのは、劣化コストを内生化した最適化と、需要家の機会費用まで織り込んだ契約設計を持つ事業者だ。市場単価の高さで勝負する時代は、すでに終わりつつある。


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