CDMとは

Clean Development Mechanism (CDM) は、京都議定書に基づく国際的な排出削減制度の一部です。京都議定書は、気候変動に対処するために1997年に採択された国際条約で、先進国に対して温室効果ガスの排出削減目標を設定しています。CDMは、その目標を達成するための一つの手段として機能しています。

CDMの主な目的

CDMの主な目的は、先進国が発展途上国で排出削減プロジェクトを実施することで、以下の2つの目的を達成することです：

温室効果ガスの排出削減: 発展途上国でのプロジェクトを通じて、二酸化炭素やその他の温室効果ガスの排出を削減します。これには、再生可能エネルギーの導入、エネルギー効率の改善、森林の保護などが含まれます。
持続可能な開発の促進: CDMプロジェクトは、発展途上国における技術移転や持続可能な経済成長を促進することを目的としています。これにより、地元の経済や生活水準の向上が期待されます。

CDMプロジェクトが成功した場合、発展途上国のプロジェクト実施者は「認証排出削減量」（Certified Emission Reductions, CERs）と呼ばれるクレジットを取得します。このCERsは、先進国の企業や政府が自国の排出削減目標を達成するために購入することができます。これにより、先進国は自国での排出削減が難しい場合でも、国際的な目標を達成することが可能となります。

CDMは、2005年に正式に開始され、多くのプロジェクトが世界中で実施されてきました。しかし、京都議定書の第1約束期間（2008-2012年）以降、特に先進国が第2約束期間に参加しないなどの問題から、CDMの活動は減少しています。それでも、CDMは依然として温室効果ガスの削減と持続可能な開発の促進に貢献する重要なメカニズムとされています。

CDMの成り立ち

Clean Development Mechanism (CDM) は、気候変動問題に取り組むための国際的な枠組みである京都議定書の一環として設立されました。京都議定書は1997年に採択され、2005年に発効しました。この議定書は、先進国に温室効果ガスの排出削減目標を課し、その達成のためのメカニズムを提供しています。

CDMの成り立ちは以下の要因に基づいています：

排出削減の柔軟性: 先進国が自国で排出削減を行うことが難しい場合、発展途上国での排出削減プロジェクトを通じて目標を達成する手段としてCDMが提供されました。これにより、コスト効率の良い方法で排出削減を達成することが可能となります。
持続可能な開発の支援: CDMプロジェクトは、発展途上国の技術移転や持続可能な開発を促進することを目的としています。これにより、発展途上国の経済成長と環境保護が同時に進められることが期待されています。
グローバルな協力: CDMは、先進国と発展途上国の協力を促進し、グローバルな気候変動対策を進めるための枠組みとして機能しています。

CDMの方法論

CDMの方法論は、プロジェクトが排出削減の認証を受けるために従うべき手続きや基準を定めたものです。これにより、プロジェクトが実際に排出削減を達成していることを保証し、その削減量を適切に計算することが可能になります。CDMの方法論は、主に以下のステップで構成されています：

ベースライン設定: プロジェクトが実施されなかった場合の排出量（ベースライン排出量）を特定します。これにより、実際に削減された排出量を計算する基準が設定されます。
追加性の評価: プロジェクトがベースラインに対して追加的な排出削減を実現することを証明します。これは、プロジェクトが自然に発生するものではなく、特別な介入（例えば、技術的な導入）が必要であることを示すものです。
モニタリングと報告: プロジェクトの実施中に排出削減がどの程度達成されたかを継続的にモニタリングし、その結果を報告します。これには、具体的なデータの収集や分析が含まれます。
認証: 認証機関がプロジェクトの排出削減量を検証し、「認証排出削減量」（CERs）の形でクレジットを発行します。このクレジットは国際的に取引可能であり、先進国が自国の排出削減目標を達成するために利用できます。

CDMの方法論は、エネルギー効率改善、再生可能エネルギー導入、廃棄物管理、森林保護など、様々な分野に適用可能です。プロジェクトごとに詳細な方法論が策定されており、それぞれの方法論に従ってプロジェクトが進められます。

CDMの方法論がボランタリー市場の方法論に与える影響

CDMの方法論は、現在のボランタリー市場（自主的なカーボン市場）の方法論に大きな影響を与えています。ボランタリー市場は、法的に義務づけられた排出削減目標の枠組みではなく、企業や個人が自主的に温室効果ガスの排出を削減またはオフセットするために設立された市場です。これらの一部の市場は、ＣＤＭの方法論を自分たちのプログラムにそのまま使用できるようにしています。また、新たに作られた方法論もＣＤＭの方法論の考え方をベースにしているものが多く、ＣＤＭはこうした新興カーボンクレジット市場の「母」的な位置づけとなっています。

以下は、CDMの方法論がボランタリー市場に与えた影響のいくつかです：

1. 標準化と信頼性の向上

CDMの方法論は、排出削減プロジェクトの標準化と信頼性を確保するための厳格な手続きを確立しました。これには、排出削減量のベースライン設定、追加性の評価、モニタリングと報告、認証プロセスが含まれます。ボランタリー市場でも、これらの手続きが採用され、プロジェクトの信頼性と透明性を確保するために活用されています。

2. 追加性の評価

CDMの重要なコンセプトである「追加性」は、ボランタリー市場でも広く採用されています。追加性とは、プロジェクトが実施されなかった場合には達成されなかった排出削減を意味します。ボランタリー市場でも、プロジェクトが追加的な排出削減を実現していることを示すために、同様の評価基準が使用されています。

3. 方法論の多様化

CDMで開発された方法論は、さまざまなタイプの排出削減プロジェクトに適用できるように設計されています。これには、再生可能エネルギー、エネルギー効率の向上、廃棄物管理、森林保護などが含まれます。ボランタリー市場でも、これらの方法論が使用されており、特定のプロジェクトタイプに応じた具体的なガイドラインが提供されています。