脱炭素社会の実現に向けて、アメリカを中心に海外のクライメートテック(脱炭素)関連のスタートアップを紹介するシリーズ、「クライメートテックトレンド」です。
8回目となるきょうも「水素」に関するクライメートテックを紹介していきます。

Quantum cat

http://quantumcat.com/

拠点:韓国   資金調達:seriesA

金ナノ触媒の商品化に関するQuantumCatのコア技術は、独自のナノケージ内に個別にカプセル化されたナノ粒子の合成方法にあります。その結果、卓越した熱的・化学的安定性を持つ触媒材料が得られ、室温が変化しても性能を損なうことなく高い触媒活性を維持することができます。 この卓越した構造的優位性により、QuantumCatの金ナノ触媒は、白金族金属触媒の重大な問題である被毒による性能低下のリスクを排除し、信頼性と耐久性に優れた製品を保証します。 さらに、その優れた触媒性能により、この革新的な触媒は、従来の白金族触媒に比べて比較的少量の使用でも効率的な結果を得ることができる。この特徴により、性能と経済性を両立させることができ、触媒技術の新たな金字塔を打ち立てた。

ハイドロネクスト

https://www.hydronext.co.jp

拠点:日本   資金調達:Private

低コスト省スペースを実現する水素製造装置の開発に取り組んでいるスタートアップ。同社の水素分離技術は、水素原子が金属に溶け込む性質を利用し、バナジウム金属膜を透過させることで、超高純度の純水素ガスを取り出すことができる。水素製造の低コスト化に加えて、水素流通における昇圧・貯蔵・輸送というコストが大きく削減できることが期待されている。また、同社では、HN水素精製技術を通じて、水素社会の到来を加速する貢献を果たしていく。2023年8月には、“おおいたうつくし作戦県民会議”にて表彰された。2023年9月には、リアルテックファンド3号投資事業有限責任組合を引受先とした資金調達を実施した。今回の調達資金をもとに、超高純度水素精製装置のスケールアップを行い、新たな産業創出に必要となる超高純度水素の精製と未利用ガスを活用した水素精製システムの確立を進めていく予定だ。

CLEAN PLANET Inc

https://www.cleanplanet.co.jp

拠点:日本   資金調達:Private

「量子水素エネルギー」などのクリーンエネルギーの研究を行うスタートアップ。2012年に設立され、2015年には東北大学と共同で設立した同大学電子光理学研究センター内の凝縮系核反応研究部門を拠点に開発に取り組んでいる。「量子水素エネルギー」とは、水素を燃料とし、天然ガスの10,000倍以上という莫大なエネルギー密度をもたらす次世代のクリーンエネルギー技術。「量子水素エネルギー」は太陽光や風力に並び、新たなエネルギー源として注目されている分野であり、これまでに基礎研究と実用化研究を積み重ねてきた同社は現在、世界初の実用化を目指している段階である。安全、安定、安価なエネルギー源を創出し、世界全体の課題を解決することに期待がかかっている。2019年5月には三浦工業より資金調達を実施。今後も持続可能な社会基盤の創造のため国内外のエネルギーインフラとの連携を目指していく。

Meijo Nano Carbon

https://www.meijo-nano.com/en

拠点:日本   資金調達:Private

高純度・高結晶な世界最高水準の単層カーボンナノチューブを提供している企業。同社は、極めて高純度な単層CNTを合成する独自技術を所有し、他社製品と比べ高い導電性を実現している。この単層CNTを水電解装置に活用することで、水素製造の効率が向上し、コスト削減が見込まれる。また、リチウムイオン電池に活用することで、急速充放電の機能や、耐久性向上等の効果が期待できる。2022年5月、K4ベンチャーズを引受先とする第三者割当増資を行い、関西電力と資本業務提携を行った。今後は、単層CNTの大量生産・加工体制の確立に向けて事業を推進させ、単層CNTの水素事業や蓄電池事業への活用を通じた、ゼロカーボン社会の実現を目指す。

Tsubame BHB Co., Ltd.

https://tsubame-bhb.co.jp/en

拠点:日本   資金調達:Private

大学発の新技術を応用し、他社との積極的な協業による開発を推進の上、アンモニア産業におけるサプライチェーンイノベーションを起こす。このイノベーションにより、食糧分野においては供給の偏在化・資源枯渇に対する課題解決手段を提供する。さらに、独創的技術を社会実装できる人財を育て、環境負荷を低減する技術開発を推進し、持続可能性を担保する。エレクトライド触媒を用いた小規模プラントでのオンサイトアンモニア生産の実用化を目指すスタートアップ。エレクトライド触媒とは東京工業大学の細野栄誉教授らによって発見・発明された電子がマイナスイオンとして振る舞う電子化物であるエレクトライドを用いたアンモニア合成触媒であり、同社はその触媒を用いることによって、既存のプロセスと比較し、より低温・低圧でアンモニアを合成することが出来る小型のオンサイトアンモニア合成装置を開発する。これによって輸送及び貯蔵コストを抑え、環境負荷の抑制及びコスト低減することが可能である。2023年10月には、新エネルギー・産業技術総合開発機構による、2023年度「脱炭素化・エネルギー転換に資する我が国技術の国際実証事業(実証要件適合性等調査)」第2回公募に採択された。

水素編のバックナンバーはこちら!

クライメートテックトレンド 水素編①
クライメートテックトレンド 水素編②
クライメートテックトレンド 水素編③
クライメートテックトレンド 水素編④
クライメートテックトレンド 水素編⑤
クライメートテックトレンド 水素編⑥
クライメートテックトレンド 水素編⑦
クライメートテックトレンド 水素編⑧
クライメートテックトレンド 水素編⑨
クライメートテックトレンド 水素編⑩
クライメートテックトレンド 水素編⑪
クライメートテックトレンド 水素編⑫

Follow me!

About The Author

  • X

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

PAGE TOP