SBSP (宇宙太陽光発電)とは
宇宙太陽光発電(SBSP)は、宇宙空間で太陽光を捕捉し、地球へ送信する技術です。季節や時間の影響を受けず、低排出量で効果的なエネルギー供給が可能です。しかし、まだ実用化段階で、送信技術の発展や高額な設置費用などの課題があります。にもかかわらず、脱炭素時代のエネルギー供給を担える可能性を秘めています。
宇宙太陽光発電(Space-Based Solar Power、SBSP)は、太陽光を宇宙空間で捉え、それを地球に向けて送信し、地球上でエネルギーを生成する技術です。宇宙に設置できる利点を生かそうといくつかクライメートテックも登場している領域です。
宇宙太陽光発電(SBSP)の概要
宇宙太陽光発電(Space-Based Solar Power、SBSP)は、太陽光を宇宙空間で捉え、それを地球に向けて送信し、地球上でエネルギーを生成する技術です。JAXAなどは、宇宙太陽光発電システム(SSPS)とも呼んでいます。宇宙太陽光発電(SBSP)は、地球上の再生可能エネルギー資源に制約がある場合や、クリーンで確実なエネルギー供給が求められる場合に有望な解決策とされています。
SBSPの基本原理
- 宇宙での太陽光捉え: 太陽光パネルが地球の大気や気象の影響を受けず、常に太陽光を捉えることができる宇宙空間に配置されます。これにより、地球上の太陽光発電所が抱える日夜や季節の制約を克服します。
- エネルギーの地球への送信: 宇宙で捉えた太陽光エネルギーは、無線やマイクロ波などの手段を用いて地球に送信されます。これにより、宇宙から地球へエネルギーを輸送することが可能となります。
- 地球でのエネルギー変換: 地球上に配置された受信機が、宇宙から送信されたエネルギーを受け取り、それを電力に変換します。この電力は通常の電力グリッドに組み込まれ、各種の用途に供給されます。
SBSPの利点
- 常時発電: 地球上の太陽光発電所が日夜や季節による変動に制約されるのに対し、SBSPは常に太陽を見ており、安定して発電が可能です。
- 柔軟性と地理的な広がり: SBSPは地上にインフラを設置せず、静止軌道に配置されるため、地理的な位置による制約がなく、任意の地点にエネルギーを供給できます。
- 低い土地の足跡: 地球上での太陽光発電所に比べてSBSPは土地をほとんど必要としないため、地上での生態系への影響が最小化されます。
- エネルギー供給の確実性: SBSPは常に太陽を捉えており、天候の影響を受けません。これにより、エネルギー供給の確実性が向上します。
SBSPの課題と進展
- 技術の発展: SBSPはまだ実用化段階にあり、送信技術や宇宙から地球へのエネルギー伝送の効率を向上させるための研究が進行中です。
- 経済的な課題: 打ち上げや構築にかかる費用が高いため、SBSPの経済的な側面には課題が残っています。
- 国際的な協力: 宇宙でのエネルギー伝送には国際的な協力が必要であり、国際的な合意や標準化が進展している段階です。
SBSPが脱炭素時代の鍵を握る理由
宇宙太陽光発電(SBSP)が脱炭素時代において注目を浴びる理由は、その持つ独自の特徴と優れた効果が、持続可能なエネルギー供給の鍵を握る可能性があるからです。
低い排出量とクリーンエネルギーの提供
SBSPによる太陽光発電は、地球上の太陽光発電よりも低い排出量を実現します。ライフサイクル評価によれば、地上太陽光は1 kWhあたり40 gのCO2eqしか使用せず、これに対して石炭は1,000 g CO2eq/kWhです。SBSPの使用により、これまでの脱炭素化の試みでは難しかった分野においても、クリーンで効果的なエネルギー供給が可能となります。
増加したエネルギー供給の柔軟性
SBSPは地球上の制約を超えてエネルギー供給が可能です。従来の発電所が地球上に位置するため、送電インフラの制約からくるエネルギー供給の制約がありましたが、SBSPは静止軌道に位置するため、地球上の任意の地点にほぼ即座にエネルギーを供給できます。これにより、エネルギー需要の変動に対応し、需要ピーク時にも安定して供給できる柔軟性が生まれます。
地上への土地利用の最小化
地上太陽光発電所の建設には広大な土地が必要で、これが生態系への影響を及ぼすことがあります。しかし、SBSPは宇宙空間を活用するため、地上への土地利用を極小化します。これにより、生態系の保護と地上の土地を他の有益な目的に利用する余地が生まれます。
定常かつ確実なエネルギー供給
太陽光発電は昼間に最も発電が高まり、季節や日夜のサイクルによって発電量が変動します。しかし、SBSPは常に太陽を捉えており、地球上の季節の影響を受けません。これにより、定常かつ確実なエネルギー供給が可能となり、エネルギー供給の安定性が向上します。