クライメートニュース Pick up 10/17

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クライメートニュースPickup では、気候変動やクライメートテックに関連する国内外のニュースをピックアップしてお届けします。

  1. アメリカ バイデン大統領 脱炭素推進のためクリーン水素燃料の開発と生産に70億ドル(約1兆500億円)を拠出
  2. 最高裁判所、バイデン大統領の「炭素の社会的費用」規則に対する異議申し立てを棄却
  3. クライメートテック 低迷する世界的ベンチャーキャピタルのシェア拡大

アメリカ バイデン大統領 脱炭素推進のためクリーン水素燃料の開発と生産に70億ドル(約1兆500億円)を拠出

AP通信

バイデン政権は気候変動対策の一環として、水素燃料開発プログラムに70億ドルを投入。米国内で7つのクリーンエネルギーハブを設立する計画で、主にペンシルベニアからカリフォルニアにかけてのプロジェクトを選定。水素は2050年までに温室効果ガス排出を実質ゼロにするための重要な要素であり、自動車エネルギー源として化石燃料を置き換える目的。選定地域は再生可能エネルギーを活用した水素生産を促進し、数万人の雇用を生み出す見込み。ただし、水素製造には多くのエネルギーが必要であり、環境保護団体からは慎重な対応を求める声も上がっている。

〇一言コメント

水素は電気やバッテリー、燃料など様々な活用方法があることから、脱炭素化が必要な領域において、最大で25%を賄えるといわれています。大型トラックやフォークリフトなどEV化が難しい車両の脱炭素化や、鉄、セメントなど産業界の脱炭素化への活用が期待されています。

最高裁判所、バイデン大統領の「炭素の社会的費用」規則に対する異議申し立てを棄却

The hill

アメリカ最高裁は、ミズーリ州が主導した訴訟を取り上げず、バイデン政権の「社会的二酸化炭素コスト」対策に対する訴訟を棄却しました。訴訟では、11の共和党主導州がバイデン政権の手法に異議を唱え、連邦規制の増加に対する反発が主張されました。トランプ政権は、炭素コストを大幅に安くして、1トンあたり1ドルに設定していましたが、バイデン政権はそれを約51ドルに引き上げていました。

〇一言コメント
アメリカは2大政党制です。現職のバイデン大統領やオバマ元大統領は民主党、トランプ元大統領は共和党です。めちゃくちゃざっくりですが、民主党=脱炭素推進、共和党=化石燃料大好きです。来年11月に次の大統領選挙が行われますが、この結果がアメリカの脱炭素政策を大きく左右します。このニュースは、炭素価格を1ドルに設定した共和党と、50ドルを上乗せし51ドルとした民主党の比較がわかりやすく面白かったこと、同じ政策においても炭素価格を変えるだけで意味が大きく変わるということをお伝えしたく、とりあげました。

クライメートテック 低迷する世界的ベンチャーキャピタルのシェア拡大

Reuters

気候技術のスタートアップへの投資は過去12か月で40%以上減少したが、ベンチャーキャピタル業界の減少率より緩やかで、重工業など特定の分野への投資が続いています。PwCによれば、2021年9月までの12か月間で、ベンチャーキャピタルおよびプライベートエクイティ投資は、前年同期と比べて50.2%減少し、総額6380億ドルとなりました。気候技術への投資額は、その総額の約10%です。世界は1.5度の目標に遠く、農業や建築分野などの技術需要は少なく、一方で炭素キャプチャや再生可能エネルギーによる水素、代替食品などの分野は資金を得ています。

〇一言コメント
この記事では、中身よりもニュースの見方について解説します。下のブルームバーグの記事は、ロイターの記事と同じくPWCのレポートを参考に書かれたものですが、見出しは「クライメートテックへの投資は過去 12 か月間で 40% 以上下落」です。

Bloomberg

「パイ全体が小さくなる中、クライメートテックがそのシェアを拡大している」と捉えたロイターと、「パイが小さくなったことに伴い、クライメートテックへの投資も減少している」と捉えたブルームバーグ、切り口が変わるだけで記事の与える印象も変わります。自分が興味をもったニュースについては、複数のメディアを読み比べてみることをおすすめします。可能であれば、日本だけでなく海外のメディアも見てみると、さらに多面的な視点を得られるかと思います。

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