脱炭素で注目のCCUSとDAC その違いを解説

Photo by Chris LeBoutillier on Pexels.com

  1. CCUS(二酸化炭素回収・使用・貯蔵)
  2. DAC(Direct Air Capture)

CCUS(二酸化炭素回収・使用・貯蔵)

CCUS(Carbon Capture, Utilization, and Storage)は、二酸化炭素(CO2)を直接取り込み、それを有効活用し、地中に安全に保管する技術を指します。主な目的は、産業プロセスやエネルギー生産などのCO2排出源からCO2を捕捉(Capture)し、それをさまざまな方法で活用(Utilization)し、最終的に地下に貯蔵(Storage)することで、大気中のCO2濃度を削減することです。
CCUSは、化石燃料の使用を続けながらCO2排出を削減する方法として注目されています。具体的には、以下の3つのステップに分かれています。

IEAより引用
  • Capture(捕捉):
    CO2を排出する産業プロセスやエネルギー発電所からCO2を取り込みます。これは、吸収剤や膜を使用した化学的な方法や、高温での物理的な分離など、さまざまな技術が用いられます。
  • Utilization(使用):
    取り込んだCO2を利用する方法です。CO2は化学プロセスに利用されたり、燃料や化学物質の原料として再利用されたりすることがあります。
  • Storage(貯蔵):
    CO2を地中や海中に安全に貯蔵する方法です。これには、地下の岩層や空洞にCO2を封じ込める地下貯蔵が含まれます。

CCUSは、特に産業プロセスやエネルギー発電においてCO2排出を削減する手段として有望視されており、気候変動対策に重要な技術とされています。

CB Insightsより引用

DAC(Direct Air Capture)

DACは、「直接空気回収」とも呼ばれ、大気中のCO2を直接取り込み、排出源がない場所でもCO2を削減する技術です。CCUSとは異なり、DACは特定の産業プロセスやエネルギー発電所からの排出を捕捉するのではなく、大気中のCO2自体を捕捉します。
DACのプロセスは、大気から空気を吸い込み、CO2を特定の吸収剤と反応させてCO2を取り込みます。その後、吸収剤とCO2を分離し、CO2を取り出します。このようにして取り出されたCO2は、CCUSと同様に利用されるか、地下に貯蔵されることがあります。
DACは、CO2を排出源からではなく大気中から直接捕捉するため、排出源がない場所でもCO2削減が可能であり、地域の制約を受けずに利用できる利点があります。しかし、現段階では技術の実用化には高コストが課題とされており、研究と開発が進められています。
日本は2050年に脱炭素社会の実現を目指しています。カーボンニュートラルは「CO2のプラスとマイナスが0の状態」です。ただし、仮に2050年にその状態が達成できたとしても「現状維持」でしかありません。大気の温度を温暖化前の状態に戻すには、「現在排出されるCO2」を回収するだけではなく、「既に空気中に排出されてしまった過去のCO2」を回収する必要があります。DACの真価はここにあると考えられています。
DACは、再生可能エネルギーと組み合わせてネガティブエミッション技術として考えられ、将来的な気候変動対策の一環として有望視されています。

Follow me!

About The Author

  • X
PAGE TOP