製造方法で変わる「色」 脱炭素で注目の水素

Photo by Alexander Grey on Pexels.com

脱炭素社会の実現に向け、注目を集めている水素。実は、製造方法によって様々な色に「色分け」されています。水素は、アメリカを中心に、水素関連のスタートアップが続々と増加しており、クライメイトテックの中でも重要な分野の1つです。

水素が脱炭素、サステナビリティで注目を集める理由

1.温室効果ガスの排出削減:水素は燃焼時に二酸化炭素(CO2)を排出せず、水蒸気として排出されます。つまり、水素を燃料として使用することで、二酸化炭素や他の温室効果ガスの排出を削減することができます。
2.エネルギーの多様化:水素の特徴の一つは、非常に高いエネルギー密度を持ち、様々な用途に利用することができることです。水素を電気に変換したり、直接燃焼させたりして、様々な産業のエネルギー源を置き換えることで、社会全体で排出されている二酸化炭素の最大25%を削減することが可能だといわれています。
3.再生可能エネルギーとの統合:再生可能エネルギーの急速な成長と低コスト化により、グリーン水素の生産がより実現可能になりました。これにより、水素が再生可能エネルギーシステムの一部として統合され、より持続可能なエネルギー体系の実現に寄与することが期待されています。
4.脱炭素化の困難な分野への適用:一部の産業や交通部門では、従来の脱炭素化技術や代替燃料が限定的であり、温室効果ガスの排出を大幅に削減することが難しいとされてきました。しかし、水素を利用することで、これらの分野においても脱炭素化が可能になります。例えば、鉄鋼製造や重量輸送などの分野では、水素を使ったプロセスや燃料としての利用が検討されています。


製造方法で変わる水素の「色」

水素の製造方法にはいくつかの「色」があります。「グレー水素」「ブルー水素」「グリーン水素」の3つが代表的です。
グレー:石油、石炭など様々な化石燃料を使用して作られた水素です。一般的に「グレー水素」と呼ばれ、カーボンキャプチャー(炭素回収)は行われておらず、水素製造時に二酸化炭素を排出します。
ブルー:天然ガスを使用して水素を作り、製造時に排出される二酸化炭素をカーボンキャプチャー(炭素回収)します。「ブルー水素」と呼ばれるこの方法は、カーボンキャプチャとセットになっているので、製造時の実質二酸化炭素排出量はゼロ、つまりカーボンニュートラルです。製造コストや製造量などが最も市場の需要に近く、水素供給における主要な役割を担います。
グリーン:太陽光や風力など、再生可能エネルギーから作られた電気を活用し、水を電気分解することで水素を作ります。製造工程で二酸化炭素を排出しないため、クリーンエネルギーとして期待されています。製造コストが現状$3-6/kgと高く、一般に普及させるには$1-2/kg程度に抑える必要があるといわれています。クライメイトテックには、グリーン水素の製造の大規模化、低コスト化を目指すスタートアップが多く含まれています。

上記の3種類が代表的ですが、ピッチブックによると、水素はさらに細かく分類されています。
ターコイズ:ブルー水素に似ていますが、生成時に二酸化炭素の代わりに固体炭素を生成します。
ピンク、赤、紫:核エネルギーを使用して生産されます。欧州委員会は2023年2月に、原子力で生成される水素の一部をEUの再生可能エネルギー目標にカウントすることを認める規則を発表しています。
イエロー:グリーン水素に似ていますが、具体的には太陽光発電を使用します。
ホワイト、ゴールド:天然資源として存在する水素から回収されるもので、地質水素としても知られています。


Follow me!

About The Author

  • X
PAGE TOP