エネルギーの流れを「見える化」 エネルギーフローチャートとは

引用:ローレンス・リバモア国立研究所

エネルギーの流れを「見える化」

これは、2021年のアメリカのエネルギーフローチャートです。エネルギーフローチャートは、左から右に向かって、エネルギー源、エネルギーの使用用途、そしてその過程で失われたエネルギーが記載されています。普段は目に見えないエネルギーの流れを「見える化」したもので、アメリカのローレンス・リバモア国立研究所が定期的に発表しています。

約8割が化石燃料由来 実際に使われるのは約3割

まず、一番左の列、エネルギー源から見ていきます。全体の79%を化石燃料(石油・石炭・天然ガス)が占めていることがわかります。(分母が97であることに注意)
次に、中央のオレンジの枠に注目します。総エネルギーの36.6%が電気を作るために使用されています。発電を支えているのは、天然ガス(水色)と石炭(黒色)です。
さらに、発電された電気(オレンジ色)は、住宅、商業施設、産業へと供給されていきます。ここで、建物(住居+商業施設)は、全体の20%のエネルギーを使用していることがわかります。
最後に、一番右側の列を見ると、全エネルギーのうち、実際にサービスとして使われたのは31.8%で、残りは無駄になってしまっていることが確認できます。


喫緊の課題は輸送の電化

もう一つ特徴的なのは、一番下の段、石油(緑色)から生まれるエネ車ギーの流れです。太いラインのほとんどが、そのまま輸送へとつながっています。車社会のアメリカでは、ガソリン車がメインの移動手段であることを如実に表しています。脱炭素化を進めるためには、全体の使用量の27%を占める輸送のエネルギー源を、再生可能エネルギーから生成された電気に切り替えていく必要があることがわかります。

2017年の日本のエネルギーフローチャート 引用:ローレンス・リバモア国立研究所

日本のエネルギーフロー

こちらは、2017年の日本のエネルギーフローチャートです。供給源の全体の約94%を化石燃料(石油・石炭・天然ガス)が占めています。基本的なエネルギーの流れは、アメリカと類似しています。

2011年の日本のエネルギーフローチャート 引用:ローレンス・リバモア国立研究所

こちらは2011年時点の日本のエネルギーフローチャートです。原子力(赤色)から流れるエネルギーが2017年のものと比べ多いことがわかります。一方、2017年のエネルギーチャートに比べ、各分野でのエネルギー使用量が多くなっていますが、これは建物をはじめ技術の発達により、省エネ化が進んだことが一因だと考えられます。

エネルギーフローチャートの使い方は様々です。1つのチャートからだけでも十分な示唆が得られますが、国ごとに比較したり、年代別に比べたりすることで、さらに活用方法は広がります。
ローレンス・リバモア国立研究所のHPでは、ここで取り上げた国や年代以外のものも公開されています。

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